山陽新聞デジタル|さんデジ

有害物質 梱包袋から9万倍濃度 吉備中央 発生源特定へ岡山県分析

フレコンバッグが置かれていた資材置き場。問題発覚後に全て撤去された=21日、岡山県吉備中央町上田東
フレコンバッグが置かれていた資材置き場。問題発覚後に全て撤去された=21日、岡山県吉備中央町上田東
 岡山県吉備中央町の円城浄水場(同町上田西)から有害な有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)が検出された問題で、浄水場の水源近くの資材置き場(同町上田東)に多数置かれていた大型梱包(こんぽう)袋「フレコンバッグ」の一つから1リットル当たり450万ナノグラム(ナノは10億分の1)の濃度が確認されたことが21日、関係者への取材で分かった。国の暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム)の9万倍もの高濃度だった。これらのバッグ内の使用済み活性炭に吸着していたPFASが漏出し、拡散した可能性がある。

 岡山県が発生源の特定に向け、現場に置かれていた約300個のうち18個からサンプルを採取して分析を進めていた。当該のフレコンバッグは突出して濃度が高く、県はバッグを搬入した民間企業への聞き取りを継続し、保管状況などを調べるもようだ。関係者によると、県は現時点でこのバッグが発生源と断定はしていないという。

 資材置き場は活性炭の再利用を手がける企業が地元財産区から借り受け、2008年からフレコンバッグ約600個を保管。バッグ内の活性炭は全国の企業などから引き取り、作業のため順次自社工場にバッグを搬出していたが、16年以降は約300個が野ざらしで残されていた。バッグは問題発覚後、全て撤去されている。

 県の水質調査では、円城浄水場に流れ込む沢の最上流部で国の目標値の1240倍に当たる6万2千ナノグラムが確認された。円城浄水場に流れ込む水域の調査地点では最も高い濃度で、県はこの沢の約100メートル北にある資材置き場周辺が発生源との見方を強めている。

 一連の問題では吉備中央町が10月、円城浄水場から20年度以降に目標値を上回る濃度が検出されていたと公表。確認されたのはPFASの代表的物質の「PFOS(ピーフォス)」と「PFOA(ピーフォア)」で発がん性などが指摘される。これまでの町の調査で住民の健康や農産物への影響は確認されていない。

(2023年11月22日 05時00分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ