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【あなたのまちの特報班】開かない北方第一踏切 混雑常態化 3線路 10秒で遮断も

国の「改良すべき踏切道」に指定されている北方第一踏切。朝のピーク時は列車の通過を待つ車や歩行者、自転車で混雑する=10月下旬
国の「改良すべき踏切道」に指定されている北方第一踏切。朝のピーク時は列車の通過を待つ車や歩行者、自転車で混雑する=10月下旬
【あなたのまちの特報班】開かない北方第一踏切 混雑常態化 3線路 10秒で遮断も
【あなたのまちの特報班】開かない北方第一踏切 混雑常態化 3線路 10秒で遮断も
 なかなか開かない踏切で長時間待たされ、イライラした経験はないだろうか。中でもJR岡山駅近くにある「北方第一踏切」(岡山市北区南方)では朝夕、車や自転車の混雑が常態化、ピーク時には1時間のうち計28分も遮断機が下りているとの調査結果がある。国からも「改良すべき踏切道」に指定されているというが、なぜ、そんな状態が続いているのか。解決策はないのか。JR西日本や岡山市に疑問をぶつけてみた。

 10月下旬、通勤、通学ラッシュの午前8時から約1時間現場に立った。カン、カン、カン―。警報器の音とともに遮断機が数分おきに上がっては下りる。上がってから10秒ほどで下り始めるときもあった。

 踏切がある市道は一方通行で正午を境に切り替わる。朝は駅東方面に向かう車や自転車、歩行者で混雑し車列が約100メートル連なることもあった。歩行者や自転車も大勢足止めされ「踏切に引っかからない日はほぼない」と自転車の男性会社員(39)は諦め顔だ。

 大きな原因は、踏切にJRの山陽線と津山線で計3本の線路が走っていることだ。平日の午前8時台には計20本の列車が通過し、3分に1回、踏切が閉まる計算になる。

 踏切では待たされるストレスだけでなく、安全上の問題も感じた。踏切の幅が30メートルあり、高齢者らが渡り切るには一苦労だろう。〈あぶない!! 渡り切れるか確かめて〉と注意を促す看板もあった。

 国も問題点は認識しており、2018年1月、北方第一踏切を交通の円滑化と事故防止を目的とした踏切道改良促進法の「改良すべき踏切道」に指定。JR西日本や市に改良計画の策定を義務付けた。

 ただ、対策は容易ではない。遮断機が下りている時間を短縮するには運行本数を減らさねばならず、JR西日本中国統括本部は「輸送サービスを維持するためには困難」と説明する。

 どうするか。市道路計画課は「踏切の交通量を減らすしかない」と言う。

 岡山市では元々、線路で分断された岡山駅東西の交通円滑化が大きな課題。05年には駅西側の駅元町と東側の下石井を結ぶ都市計画道路・下石井岩井線を開通させた。在来線を高架でまたぐ同線が市中心部の東西をつなぐ幹線道となり、北方第一踏切の通行減につながっているようだ。

 1999年度に車約5300台、自転車約7600台だった踏切の1日当たりの通行量は、2022年度は車約2200台、自転車約4300台に減少。市はJR西と共同提出した改良計画で、下石井岩井線とつながる都市計画道路・上石井岩井線を24年度までに2車線から4車線に拡幅して車の流れをスムーズにし踏切の交通量を減らすとしている。

 とはいえ、根本的な解決は本当にないものか。市道の立体化や地下道(アンダーパス)の案をぶつけると「周辺にはマンションや学校があり、在来線の上を新幹線の高架が通る。現実的ではない」と同課。迂回(うかい)路の活用しか手はないようだ。

     ◇

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(2023年11月19日 19時37分 更新)

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