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技光る 日本伝統工芸展岡山展開幕 県立美術館 陶芸や染織7部門展観

現代作家の秀作が競演する日本伝統工芸展岡山展の会場
現代作家の秀作が競演する日本伝統工芸展岡山展の会場
テープカットする主催者ら
テープカットする主催者ら
 国内最大規模の工芸公募展「第70回日本伝統工芸展」岡山展(日本工芸会、山陽新聞社など主催)が16日、岡山市北区天神町の県立美術館で開幕した。連綿と受け継がれてきた技術と現代作家の美意識が溶け合った秀作が、ファンらのため息を誘っている。

 陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸の7部門。備前焼の伊勢崎淳さん(備前市)の切り込みがシャープな「四方削花生」をはじめ、各分野をリードする重要無形文化財保持者(人間国宝)の40点、入賞19点や地元作家の入選作など計271点を展観する。

 最高賞・日本工芸会総裁賞に輝いた松本達弥さん(千葉県松戸市)の「彫漆箱『遥(はる)かに』」は広がる海をモチーフに、白から紺青に移ろうグラデーションで波のきらめきを表現。初出品した備前焼の岡山県重文保持者・島村光さん(備前市)の洒脱(しゃだつ)な「入れ子泡瓶(ほうひん)」、気鋭の金工作家佐故龍平さん(岡山市)の有機的なマーブル模様が浮かぶ「杢目金(もくめがね)打出鎬(しのぎ)花器」といった郷土勢の入選作も注目を集めていた。

 フジの花をモチーフにした漆芸作品に見入っていた津山市の女性(76)は「繊細な手仕事で、身近な花がより一層輝きを増していて引き込まれた。ずっと見ていたい」と話していた。

 一般公開に先立ち開会式があり、守安收同美術館長、国重良樹県教育次長が「伝統工芸の神髄に触れられる絶好の機会。素晴らしさを満喫し、身近に取り入れてもらいたい」とあいさつ。日下知章山陽新聞社専務取締役らを加えた7人でテープカットした。

 12月3日まで(11月27日休館)。18、19、23、25、26日、12月2日の午後1時半から人間国宝や地元作家らによる列品解説(11月25日は午後6時からも)、25、26日の午前11時から初入選作家のトークがある。12月3日午後1時半からは、色絵磁器の人間国宝・14代今泉今右衛門さんが記念講演会を行う。

(2023年11月16日 12時20分 更新)

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