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資材置き場に大型梱包袋600個 吉備中央の有害物質発生源調査

フレコンバッグが置かれた資材置き場。問題発覚後、撤去が進められている=10日午後、岡山県吉備中央町上田東
フレコンバッグが置かれた資材置き場。問題発覚後、撤去が進められている=10日午後、岡山県吉備中央町上田東
資材置き場に大型梱包袋600個 吉備中央の有害物質発生源調査
 岡山県吉備中央町の円城浄水場(同町上田西)から有害な有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)が確認された問題で、発生源の特定に向けて岡山県が調査を進める資材置き場(同町上田東)の大型梱包(こんぽう)袋「フレコンバッグ」は最大で約600個あったことが15日、関係者への取材で分かった。うち約300個は問題発覚前に撤去されているが、専門家はその中にも高濃度のPFASが含まれていた可能性があるとして、現場の土壌調査の必要性を指摘する。

 水道水の安全が揺らいだ問題は17日で発覚から1カ月。依然として発生源の特定には至っておらず、住民の不安が増幅する中で、県や吉備中央町の対応が問われそうだ。

 これまでの県の調査で、浄水場周辺の河川やダムなどから高濃度のPFASを検出。資材置き場の約100メートル南の沢からは国の暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム=ナノは10億分の1)の1240倍に当たる6万2千ナノグラムが確認された。現場には使用済みの活性炭が入ったフレコンバッグ約300個が置かれ、一部から目標値の6倍超となる320ナノグラムのPFASを検出。活性炭は排水処理に使われることが多く、使用の過程で吸着したとみられる。

 関係者によると、資材置き場は地元財産区が保有し、2007年に活性炭を扱う民間企業が月2万円で賃貸借契約を結んだ。この企業は08年からフレコンバッグ約600個を保管。バッグ内の活性炭は全国の企業などから引き取り、再利用するために順次自社工場にバッグを搬出していたが、16年以降は約300個が野ざらしで残されたままとなっていた。問題発覚後、撤去が進められている。

 県は資材置き場が発生源となった可能性があるとみて、バッグの内容物をサンプル採取して調査を継続する一方、現時点でこの企業に対する詳細な聞き取りや土壌調査は行わない方針。

 PFASに詳しい京都大大学院の原田浩二准教授(環境衛生学)は「活性炭に吸着した高濃度のPFASが雨水で溶け出して堆積した可能性がある。発生源の特定には資材置き場や周辺の土壌調査を行う必要があるだろう」とする。

(2023年11月16日 05時00分 更新)

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