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浄水場取水ダム上流 基準の74倍 吉備中央の有害物質問題で県調査

浄水場取水ダム上流 基準の74倍 吉備中央の有害物質問題で県調査
国の基準を超える有害なフッ素化合物が検出された円城浄水場が取水している河平ダム=吉備中央町
国の基準を超える有害なフッ素化合物が検出された円城浄水場が取水している河平ダム=吉備中央町
岡山県の水質調査で1リットル当たり3700ナノグラムの有害な有機フッ素化合物が検出された地点周辺=吉備中央町
岡山県の水質調査で1リットル当たり3700ナノグラムの有害な有機フッ素化合物が検出された地点周辺=吉備中央町
 岡山県は25日、吉備中央町の円城浄水場(同町上田西)から国の基準(1リットル当たり50ナノグラム)を超える有害な有機フッ素化合物が検出された問題を受け、周辺のダムや河川などで行った水質調査の結果を公表した。浄水場が取水している河平ダムの上流で国基準の74倍となる1リットル当たり3700ナノグラムを検出。浄水場の値の3倍以上に上っており、県は追加調査を行い、発生源の特定を進める構えだ。

 化合物は「PFOS(ピーフォス)」と「PFOA(ピーフォア)」で発がん性などが指摘されている。吉備中央町が今月14日に円城浄水場で行った調査で1100ナノグラムが検出され、引き続き基準値を大きく上回っていたことも新たに判明。県は同町と連携し、住民からの健康相談に対応するとともに、化合物が及ぼす影響などについて情報提供に努める。

 岡山県の調査は16、19の両日、河平ダムやダムの上下流の13地点で実施。上流の日山谷川の2地点で円城浄水場を上回る2千~1500ナノグラム、日山谷川に流れ込む沢の4地点では3700~2600ナノグラムが検出された。上流部ほど検出量が多かったことから、県は24日、最大値だった地点からさらに上流部の複数地点の水を採取し、成分の分析を進めている。

 この他、河平ダムの下流の1地点で460ナノグラムを検出し、基準値を超えたのは計8地点だった。円城浄水場の新たな取水源となる日山ダムを含む5地点は下回っていた。

 県はまた、河平ダム下流域にある井戸の地下水からも基準を上回る390ナノグラムが検出されたと公表。この井戸水は飲用されていないとみられるが、周辺で井戸を確認した場合は所有者に使わないよう指導する。

 一連の問題では吉備中央町が今月17日、円城浄水場から21、22年度に基準値を上回る化合物が検出されたと発表した。19日には20年度も基準を超えていたことを追加で公表。県は同町に対し、適切に事実関係の報告を行うよう2度にわたって文書で指導した。

 水質調査の結果は25日の県議会常任委員会で説明した。県環境管理課は「町民、県民の安全・安心のため、発生地点を確認した上で適切な対応をしていきたい」としている。

(2023年10月25日 12時25分 更新)

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