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酒どころ岡山の歴史は 特別展開幕 県立博物館 酒造道具や資料ずらり

伝統的な酒造りの道具などが並び、岡山の酒の魅力を伝える会場
伝統的な酒造りの道具などが並び、岡山の酒の魅力を伝える会場
 岡山の酒をテーマにした特別展「醸す―自然と技術が育んだ岡山のお酒―」が20日、岡山市北区後楽園の岡山県立博物館で開幕した。近代の酒造りに用いられた多様な道具、高い技術で名をはせた備中杜氏(とうじ)に関する資料などを通し、入館者が“酒どころ岡山”の歴史と魅力に触れていた。

 気候や水に恵まれた岡山は、万葉集の和歌に詠まれるほど古くから酒が造られてきた。会場には、「酒」の文字が書かれた奈良期の須恵器を皮切りに、主に明治~現代の資料約280件が並ぶ。

 江戸後期の「日本山海名産図会」は、洗米から搾りまで当時の酒造りの様子を活写。醪(もろみ)の仕込みに使う高さ2メートル弱の木桶、醪の入った袋に圧力をかけて酒を搾る木槽といった大正~昭和の道具と合わせ、伝統的な作業風景をリアルに伝えてくる。

 明治末期から100年以上続く「備中杜氏自醸清酒品評会」の優勝カップや、大正~昭和初期に存在した杜氏養成学校の学則は、備中杜氏たちが技術の向上、伝承に注いできた熱意を物語る。県酒造組合連合会(現県酒造組合)が昭和期に作った手ぬぐいには、約180もの銘柄が並び、入場者の注目を集めていた。

 訪れた男性(80)=倉敷市=は「岡山で酒造りが盛んな理由がよく分かり、見直すきっかけになった」と話した。

 12月3日まで。山陽新聞社など共催。

(2023年10月20日 11時25分 更新)

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