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浄水場の水から有機フッ素化合物 吉備中央、基準の28倍

ポリタンクに水をためる町民ら=16日午後8時
ポリタンクに水をためる町民ら=16日午後8時
記者会見で説明する山本雅則町長
記者会見で説明する山本雅則町長
 岡山県吉備中央町は17日、円城浄水場(同町上田西)の水から、基準の28倍に当たる有害な有機フッ素化合物が検出されたと発表した。区域の522世帯、約千人に水道水を飲まないよう求め、給水車を出して対応している。原因は不明で、健康被害の報告はない。

 化合物は「PFOS(ピーフォス)」と「PFOA(ピーフォア)」で、血中濃度が高まると発がんリスクが上がると指摘されている。1リットル当たり50ナノグラムの国の基準に対し、昨年10月の検査で1400ナノグラムを検出。今月13日に県備前保健所から早急な対応を求められた。

 町は16日に対象世帯に告知放送で連絡し、公会堂など6カ所に給水所を開設。17日夜には住民説明会を開いた。飲み水以外の使用は問題ないという。

 町は2年前にも1200ナノグラムを検出したが、水道法に基準が定められていないため公表せず、対応もしていなかった。山本雅則町長は記者会見で「認識不足で対応が遅れ、おわびする。県と協力して対策を考えたい」と陳謝した。

 浄水場が取水している上流の河平ダム(同町下加茂)との間からも化合物が検出されたため、町はダムの水に含まれていると推測。別のダムに切り替えることも検討する。

 化学物質の毒性評価に詳しい小野敦岡山大教授は「自然界には存在しない化合物で、現在は法律で製造が原則禁止されている。何らかの理由で土壌に染み込んだものが水に溶け出した可能性が考えられる」と話している。

(2023年10月17日 21時52分 更新)

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