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福山市「廉塾」保存整備へGCF 10月中旬から、歴史的価値発信

保存整備が進む「廉塾ならびに菅茶山旧宅」
保存整備が進む「廉塾ならびに菅茶山旧宅」
 老朽化している国特別史跡「廉塾ならびに菅茶山旧宅」(福山市神辺町川北)の保存整備のため、市がふるさと納税の仕組みを使って寄付を募る「ガバメントクラウドファンディング」(GCF)を10月中旬から実施することが27日、分かった。歴史的価値を広く発信すると同時に、改修費の負担軽減を図る。

 廉塾は漢詩人菅茶山(1748~1827年)が開いた私塾。当時の庶民教育の環境が残る史跡として、広島県内では厳島(廿日市市)と共に国特別史跡に指定されている。

 福山市によると、GCFは年末まで続ける予定。目標額は1千万円程度を想定しており、返礼品には寄付者名を記した“塾生札”を掲示する案がある。当初はCFを検討していたが、所得税や法人税などに優遇措置があるGCFに切り替える。

 近く、地元顕彰団体などで構成する「神辺の至宝を未来に受け継ぐプロジェクト」会議で方針を確認する。市文化振興課は「庶民教育の場である郷校が往時の姿のまま残る全国唯一の史跡。貴重な文化財を全国にPRし、保存支援を求めていきたい」としている。

 建物は築200年以上で雨漏りや壁の亀裂といった老朽化が著しく、市などは2020~32年度の計画で旧宅や寮舎を段階的に改修している。総事業費は約8億円で国が7割、県と市、所有者が各1割を負担するが、所有者の費用捻出が事業継続の課題となっている。

(2023年09月28日 05時10分 更新)

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