山陽新聞デジタル|さんデジ

芸備線存続策 六角精児氏ら議論 庄原でシンポ、観光列車導入訴え

六角氏(壇上左端)らが芸備線の存続策などを話し合ったシンポジウム
六角氏(壇上左端)らが芸備線の存続策などを話し合ったシンポジウム
 岡山、広島両県にまたがるJR芸備線の利用低迷区間が存廃に揺れている問題を受け、同線の存続策について考えるシンポジウムが23日、沿線の庄原市内で開かれた。鉄道愛好家で俳優の六角精児氏(61)や識者ら5人が意見交換し、観光列車の導入や地元自治体の財政支援を訴えた。

 六角氏は「山や川、田んぼといった日本の素朴な風景が車窓から楽しめる」と同線の魅力を紹介した上で、高齢化で車を運転できない人が増えてくる将来を見据え「全国に毛細血管のように張り巡らされている鉄道をなくして良いのか。住民から声を上げていかねばならない」と強調した。

 利用促進に向けては、広島市在住のフリーライター・やまもとのりこ氏がスイーツやワインを楽しめる観光列車の導入を提案。広島市立大の平尾順平特任准教授(47)は、学生らが列車に乗って中山間地の魅力や課題を学ぶツアーの開催を持ちかけた。

 鉄道ライターの杉山淳一氏(56)は線路や駅舎を自治体が管理し、鉄道会社が運行を担う「上下分離方式」の有効性に言及。「行政が財政負担をしなければ存続は難しい」と指摘した。庄原駅周辺地区まちづくり協議会の西田学会長(58)は「現状では地元の観光地などに列車で日帰りできない」とし、運行ダイヤの見直しを求めた。

 地元市民グループが主催し、約200人が聞いた。

 芸備線を巡っては、管理するJR西日本が備中神代(新見市)―備後庄原(庄原市)間について存廃を議論する「再構築協議会」の設置を、10月にも国に要請する方針を示している。

(2023年09月23日 20時20分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ