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群馬、虐殺題材に映像制作 負の歴史、忘れずに

 「藤岡事件」の犠牲者の慰霊碑を見つめる小林里樹さん=8月、群馬県藤岡市
 「藤岡事件」の犠牲者の慰霊碑を見つめる小林里樹さん=8月、群馬県藤岡市
 関東大震災後、流言を信じた市民が、現在の群馬県藤岡市にあった警察署で保護されていた朝鮮人17人を虐殺した「藤岡事件」から5日で100年。同市出身で東京都内の映像関連会社に勤める小林里樹さん(23)は大学生だった昨年、卒業制作で事件を題材としたドキュメンタリーを作った。「地元の負の歴史を忘れてはいけない」と語る。

 きっかけは武蔵大(東京)2年の時。元NHKディレクターの永田浩三教授に出身地について話すと、藤岡事件を知っているかと聞かれた。小学生の頃祖父に聞いた「警察署で、たくさんの人が殺された」という話を思い出したが、殺害されたのが朝鮮人だとは知らなかった。「地元で起きた現代では考えられない出来事を調べたい」と卒業制作のテーマに選んだ。

 タイトルは「『慰霊』と『反省』」。藤岡市史や、市に残る当時の行政文書「大正十二年東京附近大震火災ニ関スル書類」、事件現場に隣接する成道寺に残る記録をたどる。昨年9月に成道寺で行われた慰霊祭の様子、事件に詳しい市職員らへのインタビューなどを約20分にまとめた。

(2023年09月04日 08時56分 更新)

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