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盛況です おっさんシフォン研究所 ケーキ専門店、趣味の腕前生かす

笑顔で接客する洋一さん(中央)と詠子さん(左)
笑顔で接客する洋一さん(中央)と詠子さん(左)
 今春オープンした岡山市中区関のシフォンケーキ専門店が人気だ。その名も「おっさんシフォン研究所」。どんな“おっさん”に出会えるのか気になり店を訪ねた。

 一戸建て住宅の壁に看板が掲げてあった。出迎えてくれたのは山本洋一さん(43)。イメージとは異なり優しい口調と笑顔が印象的。客からも「おっさんじゃない!」と突っ込まれるらしい。

 自宅の一角を改装し妻で代表の詠子さん(42)と切り盛りする。開業のきっかけは2021年、詠子さんと長女愛子さん(13)がシフォンケーキ作りに挑戦して失敗したこと。洋一さんは原因を探りたくなり、仕事から帰ると材料や分量を調節しながら趣味で焼くのが日課となった。

 新型コロナウイルスの感染拡大も引き金に。愛子さんは重度の心身障害があり、生活に車いすが欠かせない。家を建てた際、1階に車いす利用の友達やその家族らが集える場を設けたが、外出自粛などで使用頻度が減っていた。洋一さんの菓子作りの腕前を知る友人らの後押しもあり、そのスペースを活用して5月に開店した。

 会社員との“二刀流”とあって営業は日、月曜の週2日。手作りする14種類の中からチョコやユズ、甘酒など各日8種類約200ピースを販売する。保存料は不使用。開店から1時間後には完売する盛況ぶりで、洋一さんは「限られた数しか用意できないが、それでも買いに来てくれる人が多くてありがたい」と話す。

 愛子さんも今後、体調や店の混み具合を見ながら顔を出す予定。「障害のある子どもがわが家にいることを知ってもらう機会になれば。地域とのつながりを大切にしながらやっていきたい」と詠子さんは意気込む。

 午前10時半~午後3時。売れ切れ次第終了。詳細はインスタグラム(ossanchiffonlab)。

 ■家族の反対押し切り命名

 開業前、焼き上げたシフォンケーキの写真に「おっさんシフォン焼きました」と添えSNSで発信してきた洋一さん。店名を考える際「おしゃれで難しい名前は忘れられやすい」と、家族の猛反対を押し切って決めた。

 「どんなおっさんか見に来たよ」と来店する人もいるほど。商品の魅力はもちろんだが、ユニークな店名も集客につながっているのだろう。

(2023年09月02日 16時12分 更新)

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