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油かけ祈願「知る人ぞ知る神様」 岡山の神社、商売繁盛や金運上昇

油をかけて祈願する油掛大黒天=岡山市北区弓之町
油をかけて祈願する油掛大黒天=岡山市北区弓之町
 岡山市北区弓之町に一風変わった神社があると聞いた。神様に油をかけて祈願するらしい。一体なぜ!? 気になって現地を訪ねた。

 交差点の一角、倉元家石材商店の敷地内にひっそりとたたずむ木造の小さな社。中に入るとごま油の香ばしい匂いが漂う。テカテカ光るころんとした大黒天の木像が正面に鎮座し、その周りには大量の油。ひしゃくですくってかけるとドロッと流れ落ちた。

 管理するのは宗教法人宝樹苑(同所)。事務局長の高橋利典さん(43)によると県内唯一の「油掛大黒天」で高さ40センチ、幅25センチ。建立年は定かではない。昭和中期には現在の北区錦町にあったが、住民有志による管理が難しくなり、1970年ごろ石材店を営む倉元家に託された。

 最近はSNSの情報発信などで参拝客が増え、一斗缶のごま油を供える人もいるほど。ネットの口コミでも「こんな体験初めてで楽しい」「知る人ぞ知る神様」と話題だ。

 油掛大黒天は全国に10カ所程度祭られているとされる。由来は諸説あり、寺の門前で油おけをひっくり返して嘆いていた油商人が、残りの油を大黒天像にかけてお参りすると、油が売れ娘の縁談もうまくいったことから商売繁盛や金運上昇、良縁成就の神様として知られるようになった。

 大黒天の縁日に当たる次回の「甲子の日」は9月3日。高橋さんは「コロナ禍で大変な思いをしている人も多いはず。多くの人が興味を持ち、心のよりどころにしていただければうれしい」と話す。

(2023年08月26日 20時32分 更新)

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