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東電、処理水海洋放出を開始へ 漁業者懸念、中国も反発

 東京電力福島第1原発の処理水を希釈、放出するための設備(手前)=22日(共同通信社ヘリから)
 東京電力福島第1原発の処理水を希釈、放出するための設備(手前)=22日(共同通信社ヘリから)
 東京電力は24日、福島第1原発の処理水の海洋放出を始める。廃炉と福島の復興のために先送りできない課題として、海洋放出の方針を決めてから2年余り。政府は放出計画が「国際的な安全基準に合致する」とした国際原子力機関(IAEA)の包括報告書などを基に、安全性を訴えてきたが、風評被害を懸念する漁業者の反対を押し切った形だ。

 第1原発の廃炉完了まで約30年続く計画。岸田文雄首相は放出開始を決めた22日の関係閣僚会議で、風評対策に関し「数十年の長期にわたろうとも、政府として責任を持って取り組む」と強調した。政府は放出に反発する中国に「科学的観点からの意思疎通」を呼びかけるが、隔たりは大きい。引き続き、国内外の不安解消に粘り強く取り組む覚悟が求められる。

 東電は、最初に放出する処理水約1トンを海水約1200トンで希釈した上で大型水槽にため、トリチウム濃度の最終的な測定を実施し、問題がないことを確認した。ポンプを起動させて放出。沖合約1キロ先まで海底トンネルを通る。

(2023年08月24日 03時17分 更新)

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