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富士山 静岡の療養所から撮影 瀬戸内・長島愛生園で写真展

駿河療養所の入所者・杉浦さんの作品が並ぶ写真展
駿河療養所の入所者・杉浦さんの作品が並ぶ写真展
杉浦さんの作品「霧の彼方へ」の前で、写真展について語る伊東さん
杉浦さんの作品「霧の彼方へ」の前で、写真展について語る伊東さん
伊東郁乃さん
伊東郁乃さん
 静岡県御殿場市の国立ハンセン病療養所・駿河療養所の男性入所者(87)が撮影した富士山の写真展が21日、瀬戸内市の長島愛生園で始まった。男性と交流する市民団体が、作品を広く伝えるとともに高齢で旅行が難しい各地の療養所入所者に富士山の景色を楽しんでもらおうと企画した。9月27日まで。

 男性は杉浦さん(名字のみ公表)で、自室から見える富士山のさまざまな表情を30年以上、カメラで切り取ってきた。その中から15点を愛生園の研修施設「むつみ交流館」に展示している。

 最も大きい縦約80センチ、横約125センチの「霧の彼方(かなた)へ」は雨上がりでかすみがかかる富士山が西日を受けて輝く幻想的な光景を捉えた。他にも上空に鮮やかに広がるひつじ雲や、山が帽子をかぶったように見える笠(かさ)雲などを撮った作品がある。

 写真展を企画した静岡県の市民団体「ぷらす」は今後、愛生園を皮切りに全国の療養所で開催を目指す。伊東郁乃代表(65)は「国の隔離政策で古里に帰れず、富士山に望郷の思いを重ねる入所者もいる。作品を見た人に想像してもらえれば」と話す。

 午前9時~午後5時15分。9月3、10、24日は休館。問い合わせは愛生園歴史館(0869―25―0321)。

(2023年08月21日 16時52分 更新)

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