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厚さ0.05ミリ 金属の折り鶴 ダイシン機工、薄板を精密加工

薄い金属板(左)を折って作る「オクリヅル」。切り抜かれた繊細な文様も印象的だ
薄い金属板(左)を折って作る「オクリヅル」。切り抜かれた繊細な文様も印象的だ
レーザー加工機で「オクリヅル」を作るダイシン機工の従業員
レーザー加工機で「オクリヅル」を作るダイシン機工の従業員
 厚さ0・05ミリのステンレス板。切り込みに沿って折り曲げていくと、ものの数分で「折り鶴」に姿を変えた。大きさは手のひらサイズ。翼や首などには「麻の葉」「菊」といった伝統的な文様があしらわれている。

 自動車部品など製造のダイシン機工(倉敷市亀山)が開発した「オクリヅル」。金属を精密に切断する最新レーザー加工機で作っている。金属ならではの高級感や、折り紙のように自分で作り上げる楽しさから、贈答品として引き合いが増えているという。

 電気自動車(EV)分野の受注拡大に向け、2021年12月、レーザー加工機を導入した。バッテリー関連などの試作部品を受注したが、量産品は思うように獲得できなかった。せっかくの最新型機。22年4月、オリジナル商品の開発に乗り出した。

 岡田大佑社長は「初めての導入だったので、新しい挑戦がしたかった。技術力をPRでき、贈り物として喜ばれる商品にしようと折り鶴に着目した」と話す。

 当初は折り紙と同様、正方形の金属板から作ろうと試みたが、紙のように何度も折り重ねることができない。翼や首などの形状を大まかに切り出し、折る回数を減らしたが「うまく折れず、手が血だらけになったこともあった」と岡田社長。そこで、金属板に“折り線”となる切り込みを30カ所以上入れたところ、うまく折れるように。指を切らないよう、板の縁を研磨して滑らかに仕上げ、22年11月に発売した。

 銀色のステンレス製(6千円)と、金色の真ちゅう製(8千円)があり、それぞれ文様は3種類から選べる。自社オンラインショップのほか、文具店「うさぎや」の一部店舗でも扱う。

 地元・倉敷と、クラシック(伝統)にちなんだ自社ブランド「Klassical(クラシカル)」の第1弾。今後、ラインアップを拡充していく計画だ。

 岡田社長は「日本の伝統的な工芸品やデザインと最新技術、アイデアを組み合わせて、今までにない商品を生み出していきたい」と意気込んでいる。

(2023年08月18日 19時57分 更新)

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