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北アルプス高山帯でシカ目撃増 食害を懸念、環境省わな捕獲へ

 北アルプス・上高地で撮影されたシカ=2022年5月(環境省南アルプス自然保護官事務所提供)
 北アルプス・上高地で撮影されたシカ=2022年5月(環境省南アルプス自然保護官事務所提供)
 3千メートル級の山々が連なる北アルプスを中心とする中部山岳国立公園の高山帯でニホンジカの目撃例が増えている。大量の草を食べるシカに荒らされると植生回復は難しく、高山植物を餌とするライチョウへの影響も懸念される。深刻な食害が出た山もあり、環境省は自治体と、わなによる捕獲などに乗り出す。

 ニホンジカの生息域は本来、低い山。1頭で年間1トン程度の草を食べるとみられ、北ア周辺の標高の低い地域では食害が確認されている。

 しかし7月に開かれた環境省有識者検討会で、高山でのシカ目撃例増加が報告された。専門家は「個体が増えて生息域を広げ、入り込んできたのではないか」と推測。温暖化で雪が減り、移動が容易になった可能性なども指摘した。

 南アルプス国立公園では1990年代後半、シカの影響が報告されるようになって10年余りで被害が深刻化。短期間で高山植物の群落が食べ尽くされ、シカに踏みつけられて土壌が露出した。

 ミズバショウやニッコウキスゲの高層湿原で知られる尾瀬国立公園でも2000年代に被害が拡大し、植生の保護柵設置などに取り組んでいる。

(2023年08月15日 16時31分 更新)

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