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アマゾンで「水俣病」懸念 魚に高濃度水銀、健康被害も確認

 ブラジル北部パラ州のタパジョス川。金採掘による水銀汚染が懸念される=2019年(パウロ・バスタ氏提供・共同)
 ブラジル北部パラ州のタパジョス川。金採掘による水銀汚染が懸念される=2019年(パウロ・バスタ氏提供・共同)
 ブラジル北部パラ州のムンドゥルク民族居住区で魚の水銀濃度を調べる人=2019年(パウロ・バスタ氏提供・共同)
 ブラジル北部パラ州のムンドゥルク民族居住区で魚の水銀濃度を調べる人=2019年(パウロ・バスタ氏提供・共同)
 ブラジル北部のアマゾン地域で取れた食用魚の2割超から安全基準を超える濃度の水銀が検出されたことが11日までに研究機関の調査で判明した。金の違法採掘で使用される水銀の排出が主な原因。障害がある新生児が増えるなど深刻な健康被害が確認されている地域もあり、専門家は「『水俣病』が強く疑われる」と懸念する。

 水銀と水銀化合物による環境汚染や健康被害の防止を目指す「水銀に関する水俣条約」の採択から10月で10年。ブラジルも締約国だが、世界最大の熱帯雨林があるアマゾンの経済開発に熱心だったボルソナロ前大統領が2019年に就任して以降、条約の履行に向けた動きは停滞している。

 ブラジルの研究機関による調査は21年3月~22年9月、北部の6州17自治体の市場などで流通する魚を対象に行われ、結果は今年5月に公表された。ロライマ州では40%、アクレ州では35・9%の食用魚でWHOなどが定める許容摂取基準量を上回る水銀を検出、全体では21・3%だった。(サンパウロ共同)

(2023年08月12日 09時22分 更新)

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