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芸備線 再構築協設置を国に要請へ JR西、利用低迷区間巡り

ヒアリングの内容を説明する岡山県の浮田信太郎県民生活部長(左から2人目)、広島県の杉山亮一地域政策局長(同3人目)ら
ヒアリングの内容を説明する岡山県の浮田信太郎県民生活部長(左から2人目)、広島県の杉山亮一地域政策局長(同3人目)ら
新見市内を走るJR芸備線。地元の高校生らにとって欠かせない移動手段となっている=4月
新見市内を走るJR芸備線。地元の高校生らにとって欠かせない移動手段となっている=4月
芸備線 再構築協設置を国に要請へ JR西、利用低迷区間巡り
芸備線 再構築協設置を国に要請へ JR西、利用低迷区間巡り
 存廃問題に揺れるJR芸備線の利用低迷区間を巡り、JR西日本は2日、国主導で存廃を含めた公共交通の在り方を議論する「再構築協議会」の設置を国に要請する考えを明らかにした。廃線を懸念する地元との協議が進まないことから、国の関与で状況の打開を図る狙い。協議会は10月から始まる新制度で、要請方針の公表は全国で初めてとみられる。

 対象は岡山、広島両県境をまたがる備中神代(新見市)から備後庄原(庄原市)までの3区間計68・5キロ。両県の沿線自治体がJR西から経営状況を聞き取る第3回ヒアリングが岡山市内であり、同社幹部が10月1日の制度開始後速やかに要請する意向を伝えた。閉会後の取材に同社地域共生部の須々木淳次長は「全国でも特に鉄道の特性を発揮できていない区間。理解をいただいた上で議論を進められれば」と話した。

 再構築協議会の制度は、地域公共交通の再編に向けた4月成立の関連法に基づく。設置は沿線自治体か鉄道事業者からの要請が前提で、両者が国の主導の下、住民の利用を促して鉄道を存続させるか、バスなどに転換するかの議論を進める。

 協議会の対象の目安は、輸送密度(1キロ当たりの1日平均乗客数)が4千人未満の線区。うち千人未満を優先して協議を促す。芸備線は備中神代―東城(庄原市)が81人▽東城―備後落合(同)が11人▽備後落合―備後庄原が62人(いずれも2019年度)―と全国でも最低水準で推移している。

 JR西は22年4月、岡山県内の芸備、姫新、因美線を含む輸送密度2千人未満の17路線30区間の収支を公表し、自社単独での維持が困難と表明。同5月には備中神代―備後庄原で存廃を含めた協議入りを沿線自治体に要請し断られていた。再構築協議会入りについては、これまで「選択肢の一つ」との考えを示していた。

(2023年08月02日 21時14分 更新)

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