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【記者が行く】マイナカード普及「不安」76% 保険証一本化「中止・延期すべき」6割超

 マイナンバーカードの普及について、山陽新聞社は通信アプリのLINE(ライン)でアンケートを行った。身分証明や行政手続きの際の本人確認に使うカードはトラブルが相次ぎ判明しており、普及・拡大に不安があるとした人は76%。健康保険証を廃止して一本化する「マイナ保険証」の取り組みは6割以上が延期か中止すべきだと答えた。

 LINEに開設しているアカウント「記者が行く」の登録者を対象に、岡山県内外の617人(10代~70代以上)から回答を得た。

 カードの取得状況は「取得済みで返納しない」が72%。「手続き中」1%、「取得するつもり」2・4%のほか、「取得しない」16・2%、「返納した(するつもり)」7%となった。

 普及・拡大への不安は「大いにある」52・7%、「多少ある」23・3%。不安や心配の内容(複数回答)は「個人情報の流出」が最多の458人で、「カードやパスワードの自己管理」284人、「使う利点が分からない」275人、「マイナポータル(取得者向けサイト)の不具合」241人と続いた。

 一方、不安は「あまりない」「まったくない」は計22・6%。自由記述には「将来的には恩恵を受ける人が多くなる」(総社市、40代女性会社員)、「初期トラブルはある。デジタル化が遅れるほうが問題」(倉敷市、60代男性)、「各種証明書がコンビニで取得でき助かっている」(同市、パート従業員の40代女性)といった意見が寄せられた。

 2024年秋のマイナ保険証への移行は「やめるべきだ」42・1%、「延期すべきだ」19・4%。27・1%は「予定通り進めるべきだ」とした。

 判明したトラブルで重大だと感じた項目も複数回答で質問。「公金受取口座の誤登録」506人、「マイナ保険証の他人情報のひも付け」505人、「住民票の写しなど別人の証明書発行」430人、「同姓同名の別人へのカード交付」419人となった。

 自由記述では「任意取得のカードに保険証や免許証をひも付けて強制的に(取得を)押し付けている」(倉敷市、70代以上の男性)といった声のほか、「マイナ保険証を紛失して再発行する際、自分を証明するものがなくなるのでは」(岡山市、自営業の60代男性)との疑問も。認知症や障害がある人のカード取得や利用に対する不安もうかがえた。

 制度の周知不足に対する懸念から、40代の男性会社員(総社市)は「報道はカードの仕組みについて丁寧に説明すべきだ」と指摘。国や報道機関にメリット、デメリットを分かりやすく示してほしいと求める意見もあった。

(2023年07月31日 05時00分 更新)

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