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栄養豊かな児島湾へ 海底耕運開始 地元漁協連、砂地復活も期待

くし状の爪がついた漁具を使って海底耕運に取り組む組合員
くし状の爪がついた漁具を使って海底耕運に取り組む組合員
 岡山市南部の4漁協でつくる児島湾漁協連合会は29日、同湾の海底を掘り起こし、窒素やリンなどを拡散させる「海底耕運」を始めた。不漁やノリの色落ちの原因とされる海の栄養不足対策の一環で、8月末まで計32回の実施を予定している。

 組合員10人ほどが漁船3隻で小串港(同市南区小串)を出港。くし状の爪がついた鉄製の漁具「桁(けた)」(幅約3メートル)を船で引き、約4時間にわたって同港沖などを耕した。ペットボトルやビニール袋などの海ごみも回収した。

 児島湾にはヘドロが堆積し、魚介類の生息に適した砂地が減少。海底耕運はヘドロの分解を促し、栄養分を海中に広げるとともに、砂地の復活も期待できるという。

 同湾周辺を中心とする同市の漁獲量は、最新の記録が2018年の87トンで、15年前のおよそ5分の1に減少。ノリ養殖でも黒くならない色落ちが深刻化し、同連合会が16年から海底耕運に取り組んでいる。豊田安彦会長は「少しずつでも豊かな海を取り戻せれば」と話した。

 同様の取り組みは、倉敷、玉野、笠岡市など岡山県沿岸各地でも行われている。

(2023年07月29日 15時51分 更新)

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