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定年後基本給減額、審理差し戻し 名古屋の自動車学校訴訟で最高裁

 定年後の基本給減額を巡る訴訟の最高裁判決後、記者会見する原告の青山治彦さん(左)=20日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ
 定年後の基本給減額を巡る訴訟の最高裁判決後、記者会見する原告の青山治彦さん(左)=20日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ
 正職員の定年を迎えて嘱託職員で再雇用された後、基本給などの賃金が大幅に減額されたのは不当な待遇格差だとして、名古屋自動車学校(名古屋市)に勤めていた男性2人が定年前との差額分の支給などを学校側に求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷は20日、審理を名古屋高裁に差し戻した。減額の一部を違法とした一、二審判決を破棄した。

 正職員と再雇用者の待遇差が不当かどうかを巡っては、最高裁が過去に賞与や各種手当などが争われた別の訴訟で支給の性質や目的を検討する必要性を指摘しており、今回は賃金のベースとなる基本給もこの枠組みで検討すべきだと初判断した。企業など事業者がこうした検討を怠った場合、不当な待遇格差とみなされる可能性がある。

 裁判官5人全員一致の結論。山口厚裁判長はまず、労働契約法の旧20条が禁じる有期、無期労働者間の「不合理な格差」に基本給も該当する場合があり得ると言及し、不合理かどうかの判断は「基本給の性質、支給の目的などの諸事情を考慮する必要がある」とした。

(2023年07月20日 20時36分 更新)

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