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ARKOで招聘 画家谷原さん新作 大原美術館で公開 温羅伝説に着想

独特の世界観を表現した大作と谷原さん
独特の世界観を表現した大作と谷原さん
 大原美術館(倉敷市中央)の若手作家支援事業「ARKO(アルコ)」で招聘(しょうへい)された画家谷原菜摘子さん(33)=兵庫県芦屋市=の新作が11日、同美術館で公開された。岡山に伝わる温羅(うら)伝説と竹取物語から着想を得たオリジナルストーリーに基づき、独特の世界観を表現している。9月24日まで。

 谷原さんは、洋画家児島虎次郎(1881~1929年)の旧アトリエ・無為村荘(倉敷市酒津)に4月上旬から約3カ月滞在。以前から創作テーマとして関心があった「竹取物語」をベースに、温羅伝説ゆかりの吉備津神社(岡山市)や鬼ノ城(総社市)などを巡ってイメージを膨らませ、6点の作品を仕上げた。

 メインは、黒のベルベット(縦約2・2メートル、横約1・4メートル)に描いた3点。竹やぶで少年が黒い物体に取りつかれるカットはムカデが地面をはい、われを失った少年が暴虐の限りを尽くすシーンは足元にいくつもの生首が転がる。登場人物の衣装や背景はラメ入り塗料や金属粉などを使ってきらびやかに彩り、妖艶でグロテスクな美しさを放っている。

 滋賀県から訪れた男性(67)は「スケールが大きいだけでなく、細部まで緻密に描かれていて圧倒される。物語性にも引き込まれますね」と見入っていた。

 谷原さんは同荘で1日10時間以上、作品に向き合っていたといい「静かな環境で創作に没頭した今までにない経験だった。生き物や衣服の柄など画面の隅々まで細かく描き込んだので、いろんな発見を楽しんでほしい」と話す。

 時間は午前9時~午後5時。9月4、11日は休館。7月15日午後2時から谷原さんによるアーティストトークがある。

(2023年07月11日 16時08分 更新)

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