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久米南のデマンド交通好評 「便利」高齢者の外出増

運転手(右)に見守られながら「カッピーのりあい号」を降りる利用者
運転手(右)に見守られながら「カッピーのりあい号」を降りる利用者
 岡山県久米南町のデマンド(予約型乗り合い)交通が好評だ。人工知能(AI)の活用で利便性がアップし、利用が大きく伸びた。高齢者の外出機会が増える効果も表れている。バス路線の廃止などが相次ぎ、デマンド交通を導入しても利用が伸び悩む地域も多い中で、注目される。15日の本紙シンポジウムで取り組みが報告される。

 予約センターの電話を係員が取ると、事前登録した客の名前や町の地図がパソコン画面に表示された。客の現在地と行き先を入力すると、町内に散らばる乗用車型の5台の車両からAIが最適な車や運行ルートを選定。係員は「5分後に行きます」と伝えた―。

 この間、10秒もかからないほどの速さ。データは運転手の端末に即座に伝わり、車が客を迎えに行き、目的地まで送った。

 「カッピーのりあい号」という町の交通システムだ。移動は町内限定で1回300円。高齢化率が約45%と県内自治体で一番高い中山間地の町で、通院や買い物といった高齢者らの生活を支える。

 しばしば利用するという女性(89)は「これができて、いろいろな場所に出かけられるようになった。運転手さんも親切で助かっている」と喜ぶ。実際、アンケートでは、AI導入後に4割が外出機会が増えたと回答している。

 かつて町営のコミュニティーバスが走っていたが、利用が低迷。2017年からは定時運行の乗用車型のデマンド交通に切り替えて運行したが、さほど利用は伸びなかった。

 20年1月、AIの配車システムを県内で初めて導入。ドアツードアで動けて直前の予約も可能になり、利用者は2倍以上増え、効率化で経費も削減できた。ネット予約もでき、町民でなくても利用可能だ。飲食店の商品宅配など物品を運ぶ「貨客混載」も始めた。

 町主任の木多央信さんは「相乗りして回り道もするので、時間には余裕が必要だ」とタクシーとの違いを説明する。

シンポ参加者募る


 シンポジウムは15日午後2時~4時、山陽新聞社さん太ホール(岡山市北区柳町)で開催。無料。

 申し込みは、特設サイト(https://c.sanyonews.jp/sdgs_sympo)で。ファクス(086―803―8502)の場合は、郵便番号、住所、氏名、年齢、職業、電話番号、聴講人数、メールアドレスを明記。

 問い合わせは、山陽新聞社吉備の環(わ)プロジェクト推進センター(086―803―8091)。

(2023年07月10日 18時26分 更新)

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