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東京で大戦中の略奪絵画見つかる 競り直前、ポーランドに無償返還

 絵画「聖母子」(奥)の引き渡し式に出席した毎日オークションの小野山良明副部長(右)=5月31日、東京都目黒区のポーランド大使館(ポーランド広報文化センター提供)
 絵画「聖母子」(奥)の引き渡し式に出席した毎日オークションの小野山良明副部長(右)=5月31日、東京都目黒区のポーランド大使館(ポーランド広報文化センター提供)
 第2次大戦中、ナチス・ドイツによりポーランドから持ち去られた絵画が東京都内で発見され、このほどポーランドに無償返還された。元々オークションにかけられるはずだったが、インターネット上で公開された出品情報が手掛かりとなった。こうした「略奪美術品」が日本国内で見つかるのは極めて珍しいといい、国境を越えた返還劇にポーランド側は「最上級の評価に値する」と沸き立っている。

 発見されたのは、イタリア人画家アレッサンドロ・トゥルキ(1578~1649年)の「聖母子」。略奪美術品の捜索に当たっているポーランドの文化・国家遺産省によると、ドイツ占領下の1940年に南東部プシェボルスクの貴族宅から運び出された。90年代に米ニューヨークでオークションに出されたのを最後に行方不明となり、今回日本で見つかるまでの詳しい経緯は分かっていない。

 2021年秋、所有者から預かった「毎日オークション」(東京)が22年1月下旬にホームページに写真を掲載したところ、文化・国家遺産省から略奪美術品の疑いがあるとメールが届いた。

(2023年07月01日 05時36分 更新)

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