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RSウイルスとヘルパンギーナ増 県内、感染症対策の緩和が影響か

 岡山県内で5月以降、ウイルス感染症の「RSウイルス」と「ヘルパンギーナ」の患者が増えている。例年と異なる増加のタイミングは、新型コロナウイルスの「5類」移行後の時期と重なっており、専門家は「感染症対策の緩和が影響している可能性がある」と指摘する。

 RSウイルスは秋から冬の流行が多く、発症すると鼻水やせきといった症状が出る。1歳未満は重症化しやすく、呼吸困難に陥ることもある。ヘルパンギーナは代表的な夏風邪ともいわれ、口内に赤い発疹ができるのが特徴。38度以上の発熱や喉の痛みを伴う。患者が増えるのは例年7月前後。いずれも手洗い、うがいといった予防策が推奨されている。

 県が54医療機関で行う定点調査によると、新型コロナ5類移行前の第18週(5月1~7日)の平均患者数はRSウイルス0・31人、ヘルパンギーナ0・09人。移行後から増加傾向が強まり、直近の第23週(6月5~11日)ではそれぞれ1・24人、1・87人になった。直近5年間の同時期比でいずれも最多の水準となり、9割以上が5歳以下だった。

 RSウイルスは2021年と似た増加の曲線をたどっており、岡山大大学院の頼藤貴志教授(疫学・衛生学)によると、21年の増加は、コロナ禍の感染対策徹底で患者がほぼいなかった20年の反動の可能性があるという。

 一方で、両感染症の患者が増えた今年の傾向について、頼藤教授は「明確な理由は分からない」とした上で「新型コロナで徹底されていた対策が緩和され、人の移動や混雑が戻った社会環境が影響しているのでは」と話している。

(2023年06月18日 19時11分 更新)

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