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ゆっくり滑り、群発地震を誘発か 能登半島、浅い断層でひずみ増え

 2020年12月ごろから活発化した石川県・能登半島の群発地震を巡り、流体(水)が浮き上がって深い地下の断層が地震を伴わずにゆっくり滑り、その結果、ひずみが増えた浅い地下の断層で地震が起こった可能性が高い―とする分析を京都大などの研究チームが12日、発表した。

 衛星を用いて地表の動きを観測し、震源地周辺が約2年間で約7センチ盛り上がったことを踏まえた推定。科学誌サイエンティフィック・リポーツで報告した。

 チームの西村卓也京都大教授によると、断層がゆっくり滑る「スロースリップ」は海溝での発生が知られるが内陸の観測例もある。

 国土地理院が設置していた観測装置に加え、群発地震を受け京都大や金沢大が追加した装置などのデータを見た。20年11月~22年12月に震源域を中心として周辺が膨れ上がっていた。

 20年11月末からの3カ月間で約1400万立方mの水が深さ約30キロから約16キロの地下に浮き上がり深い地下の断層をゆっくり滑らせた。これにより、ひずみがたまった浅い地下で群発地震が起きたと考えた。

(2023年06月12日 18時36分 更新)

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