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アミノ酸 りゅうぐうで生成の公算 岡山大分析 隕石衝突の起源説補う

顕微鏡で拡大したりゅうぐうの砂試料
顕微鏡で拡大したりゅうぐうの砂試料
クリスチャン・ポティシェル助教
クリスチャン・ポティシェル助教
 岡山大惑星物質研究所(鳥取県三朝町)のクリスチャン・ポティシェル助教=宇宙生物学=らのチームは、探査機はやぶさ2が小惑星「りゅうぐう」から地球に持ち帰った砂に含まれていたアミノ酸は、同惑星で作られた可能性が高いとの分析結果をまとめた。

 アミノ酸は、地球上の生物の生命活動で不可欠なたんぱく質の源。研究者の間では、元から地球に存在していたかどうか見解が分かれる中、今回の結果は隕石 (いんせき)衝突を介した「宇宙起源説」を補う内容という。

 同チームはこれまでに、りゅうぐうの砂から計23種類のアミノ酸を検出している。今回の分析では、地表と地下の採取地点による分布の特徴を調べた。その結果、地表では栄養素の一つ「ジメチルグリシン(DMG)」が、地下にはコラーゲンのもととなる「グリシン」が、多く含まれていた。

 DMGが生じるには、水とグリシンが必要。りゅうぐうには水が存在していたことが先行研究で判明していることと突き合わせ、アミノ酸は同惑星で生じた公算が高いと結論付けた。

 「生命の源」とされるアミノ酸がりゅうぐうで生成されたとすれば、他の惑星でも作られたり、条件次第では地球外に生命が存在したりする可能性を秘める。

 今回の分析結果にポティシェル助教は「地球上の生命のルーツは宇宙のどこなのか。この謎を解き明かす手がかりにしたい」としている。

 アミノ酸のルーツ アミノ酸は鎖状につながることで筋肉や髪の毛を作るタンパク質となる。生命に欠かせない材料だが、地球上で作られたのか、宇宙からもたらされたのかは未解明。1969年にオーストラリアに落ちた隕石からアミノ酸が見つかったことから、宇宙が起源との説が有力視されている。

(2023年06月12日 20時15分 更新)

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