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愛生園中尾さん 差別ない社会訴え ハンセン病偏見の歴史 岡山で講演

ハンセン病に対する偏見や差別の歴史を語る中尾さん
ハンセン病に対する偏見や差別の歴史を語る中尾さん
 「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」(22日)を前に、国立ハンセン病療養所・長島愛生園(瀬戸内市)の入所者自治会長・中尾伸治さん(88)が11日、岡山市北区天神町のRSKイノベイティブ・メディアセンターで講演した。ハンセン病に対する偏見・差別の歴史を語り、誰もが安心して暮らせる社会の実現を訴えた。

 中尾さんは1948年、14歳で入所。国の隔離政策で病気への偏見が強く「家族と音信が途絶えた」とした上で「多くの入所者が家族と切り離され、終生を療養所で過ごした」と述べた。治療法の確立後も顔の後遺症から「治っていないと家族に誤解された」といい、母や兄の死に立ち会えなかったとした。

 語り部としてハンセン病問題の啓発を続ける中尾さんは、新型コロナウイルスの流行当初に起きた感染者らへの差別にも触れ「同じ過ちが繰り返されてはならない」と強調。「障害や病気で人を差別しない社会になってほしい」と訴えた。

 講演はRSK山陽放送が企画し、約50人が聴いた。同センターでは入所者らの絵画などを展示する「長島からの風」が26日まで開かれている。

(2023年06月11日 19時55分 更新)

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