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女王死去で手にした英国カメラ 新品で手ごろなイルフォード

これがイルフォードのカメラとフィルム。白と黒のシンプルなデザイン=倉敷アイビースクエア
これがイルフォードのカメラとフィルム。白と黒のシンプルなデザイン=倉敷アイビースクエア
ネガをデジタル化。周辺描写は甘いが、画面中央の軒裏などは良く撮れている=同
ネガをデジタル化。周辺描写は甘いが、画面中央の軒裏などは良く撮れている=同
代官所の遺構。レンガ積みの微細な模様もしっかり描写している=同
代官所の遺構。レンガ積みの微細な模様もしっかり描写している=同
蜂谷秀人さん(photo by M.S)
蜂谷秀人さん(photo by M.S)
 9月8日、イギリスのエリザベス女王がお亡くなりになりました。在位70年、96歳でした。日本は9日、このニュースが流れました。イギリス人ではない小生ですが、何か具体的に弔意を表したくなり、コーヒーショップであれこれと考えをめぐらせました。渡英は今のご時世、なかなか簡単ではないし、イギリス料理のレストランなんて首都圏、関西圏じゃないとなさそうです。喫茶店で紅茶とスコーン、そんな面構えでもないし…。

 岡山にいて簡単にイギリスに貢献できるモノは何か?  おーそうじゃ! ネットショップでイギリス製のモノをゲットすれば、超々微力ながらイギリスに貢献できる! と考えたのです。必ず9日に「ポチっ(購入決定)」とすること! これを自分に課した掟(おきて)にしました。

 まず考えたのが、帽子です。小生、いつも帽子をかぶっているのですが、今の時季は冬用のフエルトの帽子はまだ早い。ちょうど秋の帽子を探していました。ですが、帽子はサイズが重要です。ネットで見つけた帽子がサイズ違いだと面倒なのでやめました。あれこれイギリス製の商品を探して思いついたのが「イルフォード」のフィルムです。イルフォードは19世紀末に写真乾板の会社として創業開始、1902年にイルフォードを社名にしています。

 モノクロのフィルムや印画紙が有名で、小生は学生時代からフィルム、卒業してからは印画紙はすべてイルフォードを使用していました。デジタルになり、フィルムや印画紙から遠ざかっていたのですが、久々にネットショップでイルフォードのフィルムを見つけて小さな感動を覚えたのです。そして目を丸くしたのがカメラの存在です。イルフォードのカメラ! 新鮮な驚きでした。

 「イルフォード スプライト 35mm-Ⅱ」 というカメラで、4500円くらい。プラスチック製で焦点距離は31mmで絞りはF9の固定、シャッタースピードは120分の1秒のみ。ピントも1mから無限遠です。撮影には電池は要りませんが、フラッシュを使用するには単4電池が必要です。

 このスペックを読んで「アレかな?」と思った方も多いはず。そうです、フジフイルムの「写ルンです」とソックリです。違いはレンズの画角が広めなこと。そして、最大の特徴はフィルム交換ができることです。てなわけでカメラ到着後の初撮影フィルムはもちろん、イルフォードのモノクロフィルムにしました。「XP2(ISO400)」というフィルムで、ちょっと変わっているのが、カラーネガフィルム現像なんです(ややこしい)。

 普通、モノクロフィルムはモノクロ用の現像液で現像しなければいけません。今、モノクロ現像はカメラ店に出しても、1週間くらいかかります。急ぐなら、自分でするしかありません。しかしXP2はカラー現像なので、カメラ店で現像に出せば30分くらいで現像できます。同時プリントに出せば、サービスサイズの写真が一緒に入手できます。ただし、このプリントはカラー印画紙で行われます。単色で仕上がるものの完全な白黒ではなく、ちょっとセピアぽかったり、逆に少し青かったりする可能性があるのでご注意を。

 そのイルフォードカメラを持って訪れたのが、倉敷アイビースクエアでした。イギリス仕込みのカメラだから「少しでも西洋ぽい! モノを撮らねば・・・」という安直なアイデアです。コロナ禍が続いているとは言え、平日にも関わらず駐車場は県外ナンバーの車が並び、たくさんの観光客でにぎわっていました。当日は晴天で行楽日和でした。

 絞りF9でシャッタースピードが120分の1秒という露出は、おおよそ ISO100フィルムの晴天のデータです。しかし今回は ISO400なので、露出オーバーになるかもしれないと思い、明るめの日陰を狙って撮りました。ファインダーも大ざっぱで、目安にしかなりません。レンジファインダーカメラを使っていた人には懐かしい感覚だと思います。

 撮影後にカメラ店で現像、ネガを見ると思ったよりしっかり写っていてビックリしました! レンズはどうみてもプラスチック製の1枚なのに、意外とヤルんです。この辺が大英帝国の誇りでしょうか? 撮影後気付いたのは、日陰でちょうどいいスペックなのに、少し露出アンダー気味に見えました。結局このカメラは、晴天や曇りなら露出を気にせず、 ISO400のフィルムでバンバン撮れば良いのです。

 フィルムカメラに興味を持っている方のビギナーズチョイスは、中古の銀塩カメラが一般的です。が、アンダー5000円でイギリスメーカーの新品カメラが買える! これは新しい選択肢になると思います。小生、コンビニで買ったティーバッグの紅茶を飲みつつ、原稿を書いています。



 蜂谷秀人(はちや ひでと)フリーランスカメラマン。ファジアーノ岡山オフィシャルカメラマン、日本写真家協会会員。1985年、日本大学芸術学部写真学科卒業後、山陽新聞社入社。編集局写真部を皮切りに夕刊編集部、家庭レジャー部記者を経て1995年に独立。1962年、岡山市生まれ。

(2022年09月21日 14時20分 更新)

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