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同じ年のライカM2 「尖った時代」の相棒を…

カメラはライカM2、フィルムはコダックのトライX。まさにフィルム時代黄金コンビで撮影したツールドフランス
カメラはライカM2、フィルムはコダックのトライX。まさにフィルム時代黄金コンビで撮影したツールドフランス
後ろ髪を引かれる思いで手放したライカM2
後ろ髪を引かれる思いで手放したライカM2
40年以上前に購入したニコンF3。これは修理に出そうと思っている
40年以上前に購入したニコンF3。これは修理に出そうと思っている
蜂谷秀人さん(photo by M.S)
蜂谷秀人さん(photo by M.S)
 ついに8月。酷暑続きですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか? まさに災害級の暑さなので、極力エアコンの効いた所で…。実際はそうもいかず、屋外の撮影では暑さで倒れるのではないかとヒヤヒヤしております。毎年買おうかどうか迷うのがファン付き作業着。先日、サッカー撮影でその姿のカメラマンがデビューしていました! ためらっていた本命酷暑対策グッズ、消費マインドが動きそうです。

 話は変わりますが、知人が「36枚撮りフィルムがついに4000円を超えた!」と教えてくれました。このフィルムはコダックの有名なリバーサルフィルム「エクタクロームE100」。店舗差はありますが、約4700円です。もちろん、撮影後は現像に出さないといけません。スライド映写機用のマウント仕上げなら2400円くらい。6コマごとフィルムで収めるスリーブ仕上げなら1800円くらいかかります。

 つまり、1本のリバーサルフィルムを撮影し、手元に戻るまでに6000円から7000円くらいかかるのです。36で割ると1コマ、約200円となります。被写体が絶景なら元が取れるかもしれませんが、友人の変顔でも200円、ピンボケでも200円…。1枚撮るごとに、チーズバーガーやコンビニのおにぎり以上の値段が飛んでいくわけです。

 「作ってやっているんだから、文句を言うな!」と、フィルムメーカーの開き直りを感じるかもしれません。しかし小生は、フィルムメーカーの矜持(きょうじ)を感じるのです。この高価格でも、もうかっているとは思えません。需要の減少(というか、ほぼ絶滅危惧種)、原材料の高騰などで、いつやめてもおかしくないのに「写真文化の伝承」を金科玉条にしてなんとか踏ん張っているんだと思います。感謝!

 気楽に「心機一転、フィルムを楽しみましょう!」と言いたいところですが、この高価格。まして、フィルムカメラが手元にない時代です。仮に所有していても、長年の放置(ほったらかし)でカメラが壊れている…。小生も山陽新聞社時代に使用していたニコンF3(1981年購入)を取り出してみましたが案の定、裏蓋(ぶた)の開閉ができなくなっていました。

 ちなみにフリーになってからのフィルムカメラは、ライカ一辺倒でした。20世紀の終わりくらいからデジタルカメラが登場してきますが、その時流にあらがうかのように、あえてライカで撮っていた「尖った時代」があります。相棒は小生と同じ年生まれ1962年製のライカM2でした。2001年頃のツールドフランスは、ライカ主体で、モノクロで撮影しました。今年、久しぶりにシャッターを巻き上げていたら、シャッタースピードが狂っていました。

 修理に出せばいいのですが、ここで考えたのです。「修理しても引き伸ばし機もない今、ただ棚の飾りで置くのはどうも忍びない」と…。ライカはモノクロで撮影して、自分で現像、自分でプリントするもの。これがライカの美というか、哲学というか、妙なこだわりを持っていました。しかし令和になって引っ越して、暗室がなくなりました。

 仮に暗室があったとしても、使用後の現像液・定着液の処分が大変です。今は有料で業者に依頼しないといけません(一部のマニアは自然乾燥! させています)。こんな理由もあり、ここ数年は眺めるだけのカメラになったのです。

 あれこれ考えた末に上京し、ライカなど銀塩高級機を専門に扱う写真機店で売却しました。現在もライカブームで、欲しい人は枚挙にいとまがありません。棚でほこりを被るより、良いところへお嫁に行く方が幸せだと思ったのです。帰りの新幹線で崎陽軒のシウマイ弁当を食べつつ、「後悔」と「これで良かった」という気持ちが入り乱れたのはいうまでもありません。



蜂谷秀人(はちや ひでと)フリーランスカメラマン。ファジアーノ岡山オフィシャルカメラマン、日本写真家協会会員。1985年、日本大学芸術学部写真学科卒業後、山陽新聞社入社。編集局写真部を皮切りに夕刊編集部、家庭レジャー部記者を経て1995年に独立。1962年、岡山市生まれ。

(2022年08月05日 12時23分 更新)

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