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困難抱える家庭と「つながれた」 子ども食堂、コロナ禍で支援活動

寄付された食品、日用品を確認するフード&ライフドライブのスタッフ=4日、倉敷市水島北幸町の「ひろばにじいろ」
寄付された食品、日用品を確認するフード&ライフドライブのスタッフ=4日、倉敷市水島北幸町の「ひろばにじいろ」
テイクアウトの弁当を用意する「うのっこ食堂」のスタッフ=6月18日、岡山市中区原尾島
テイクアウトの弁当を用意する「うのっこ食堂」のスタッフ=6月18日、岡山市中区原尾島
 岡山県内の「子ども食堂」の運営者らが「フード&ライフドライブ」を展開している。食品や日用品の寄付を募り、新型コロナウイルスの影響などで生活に困っている子育て家庭に無料で提供する支援事業だ。コロナ禍により食堂を休止した中で始めた試みに、運営者たちは「困難を抱えていながら、地域で埋もれていた家庭とのつながりができた」と手応えを感じている。

 今春の第1弾では岡山、倉敷、総社市で寄付を受け付け、約7千点が集まった。行政や社会福祉協議会などの協力を得て支援対象の家庭にチラシを配布。SNS(会員制交流サイト)も活用し、110世帯から申し込みがあった。

■「ママにもサンタさん」

 「あす食べるものがない」「コロナで仕事を失った」「就業時間が減り収入が減った」「持病を抱えて買い物に行けない」

 事務局の「子どもソーシャルワークセンターつばさ」(倉敷市)には切迫した声が寄せられた。代表理事の紀奈那さんは、一軒一軒訪問して支援品を届けた。

 「まだ生きていていいんだと思えます」「息子に『ママにもサンタさんが来たね』と言われた」「助けてくれる人がいた」「もっとこういう支援がほしい」「つながれて良かった」

 多くの感謝を受け現在、第2弾を進めている。笠岡市や県北部でも支援品を集め、7月下旬から200世帯に贈る計画だ。

■目指していた形

 有志が無料・低額で食事を提供する子ども食堂は県内に40カ所程度あるとされ、大半は幅広い世代が自由に参加できる交流の場としている。対象を限定しないため、経済的困窮や孤立など困難な状況にある家庭が利用できているのか、実態をつかみきれないのが運営者の悩みだった。

 フード&ライフドライブ事業では、支援対象の家庭にアプローチした。紀さんは「困っていても言い出せない、情報が入らない家庭もある。待っているだけでなく、一歩踏み出すことでつながれた」と言う。

 同事業に参加する「うのっこ食堂」(岡山市)は5、6月、独自に弁当も配布。4回で延べ約170世帯に提供し、同事業でつながった家庭にも届けることができた。運営者の杉本美緒さんは「子ども食堂の役割が広がったと思う。目指していた形に近づけたんじゃないかな。新しく出会った人とも近所づきあいのように接していきたい」と話す。

 「東山つながりキッチン」(同市)の原明子さんも、活動を通じてシングル家庭のお母さんらと知り合った。「私たちの学区でもまだ、困っているのに見えない家庭があるはず。子ども食堂に来られなくても、相談に乗れるから」と自身のLINEアカウントを印刷したチラシをエリア内で配るようにした。

■運営者支える仕組みを

 コロナ禍での新たな試みは、各地に根付いてきた子ども食堂の可能性を示した。だが、労力や資金面で運営側の負担は大きい。第2弾は岡山ロータリークラブから200万円の寄付、「SUENAGA Group(スエナガグループ)」の岡山土地倉庫(岡山市)から支援品を保管する倉庫の無償提供もあり実施に踏み切れた。

 子ども食堂の運営者らでつくる「こどもを主体とした地域づくりネットワークおかやま」の直島克樹代表(川崎医療福祉大講師)はこう考える。

 「地域の子ども食堂は多機能なものだ。地域交流はもちろん、子どもの貧困対策的な機能も担え、そこにあるだけで安心感につながる『居場所』になりつつある。だからこそ小学校区に一つの設置が求められている。そうした子どもの食堂の役割を多くの人に理解していただき、運営者を支える仕組みを構築したい」

 ◇フード&ライフドライブは「こどもを主体とした地域づくりネットワークおかやま」が主催。地域住民から寄せられた米、インスタント食品、菓子、調味料、洗剤、衛生用品などを子育て家庭に無料で提供する。問い合わせは事務局メール(okayama.koiren@gmail.com)。

(2020年07月11日 07時01分 更新)

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