山陽新聞デジタル|さんデジ

コロナで客激減 岡山の飲食店苦境 大赤字、廃業、スタイル転換も

居酒屋として最後の営業日となり、のれんが掲げられた成田家田町店=9日午後4時46分、岡山市北区田町
居酒屋として最後の営業日となり、のれんが掲げられた成田家田町店=9日午後4時46分、岡山市北区田町
成田家田町店の最終日。常連客らが名物料理を味わった
成田家田町店の最終日。常連客らが名物料理を味わった
今月末での閉店を知らせる張り紙が掲げられた「たかはし」=岡山市北区本町
今月末での閉店を知らせる張り紙が掲げられた「たかはし」=岡山市北区本町
 新型コロナウイルスの影響で客足が激減し、岡山県内の飲食店が苦境に立たされている。9日、サラリーマンらでにぎわう老舗の居酒屋、成田家田町店(岡山市北区田町)が約半世紀の営業に終止符を打った。近くテークアウト専門店として再出発するという。

 ◇

 「しばらく『3密』が敬遠される状況が続くだろう。経営努力だけではどうにもならん」。9日、居酒屋として“最後の夜”を迎えた成田家田町店(岡山市北区田町)。店主の山田三八夫さん(67)は淡々と話した。

 地物の新鮮な魚介類や野菜にこだわり、良質な料理を安く提供してきた同店。山田さんは1973年、前任者から店を引き継ぎ、約半世紀にわたって切り盛りしてきた。近年はインターネットで評判となり首都圏や関西からの客が急増。平日でも満席となるほどの人気ぶりだった。

 それが一転、新型コロナウイルスの影響で4月の売り上げは前年同月比75%減。材料費や人件費などを賄えず、開店以来初の大赤字となった。終息が見通せない中、居酒屋営業をやめることにしたという。

 この日は午後5時前の開店直後から常連客らが訪れ、鳥酢、湯豆腐などの名物料理を味わった。妻と訪れた会社員(40)=同市=は「10年ほど通い続け、デートの食事と言えばここだった。寂しくなります」と惜しんだ。11日からはテークアウト専門店として午前11時半~午後7時に営業、引き続き一品料理を提供する。

 岡山市中心部の繁華街では新型コロナの逆風に耐え切れず、廃業を決めた店も出始めている。

 20日に店を閉じる創業21年の老舗「すし茶屋 銀八」(同岩田町)。経営する加治臣和(としかず)さん(60)は「リーマン・ショックをはじめ、数々の苦境を乗り越えてきたが、今回は到底資金が回らない」と語る。

 歓送迎会などで書き入れ時となるはずの3、4月は宴会予約がほぼ全てキャンセルに。食材、人件費として月に200万円が必要な一方、売り上げは3月が約140万円、4月は約90万円にまで落ち込み、「返済できる見込みのない借金を抱える前に…」と、やむなく廃業を決めたという。

 「生きがいとしてやってきた店。閉めなければならないのは本当につらい」と言うのは、西川緑道公園沿いで「菊正 四季の味 たかはし」(同本町)を営む高橋正敏さん(69)。家賃を含めた固定費が資金繰りを圧迫し、今月末での閉店を決めた。

 ホテルの総料理長を務めた経験もある高橋さんが「岡山の食材のおいしさを知ってもらいたい」と2016年に開店。黄ニラやタコといった県産食材を扱い、県外客にも人気だったが、3月は売り上げが前年同月比で半減した。

 店をたたんだ後も、開店資金に充てた融資の返済が続くが、高齢のため新たな転職先が見つかるかが不安だという。

(2020年05月09日 21時37分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ