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政治とカネと政党と

 「政治家は自ら『まな板の上のコイ』になって腹に包丁を突き立てるようなことはしない。民間から『ちゃんとやれよ』という声を大きくしていかなければ変わらない」。裏金で揺れる「政治とカネ」の問題である▼発言の主はシンクタンク「構想日本」の加藤秀樹代表=高松市出身。日本記者クラブで先日講演した▼大蔵省(現財務省)の元官僚だ。1997年に構想日本を設立し、民間目線での政策提言に努める。施策の必要性を検証する「事業仕分け」は岡山市など多くの自治体や民主党政権で取り入れられた▼講演では、政治家は政治団体を幾つも持つことができ、団体間の資金移動がほぼ自由であることを問題視。「財布」を一つにすることや、収支報告書を企業のように「連結ベース」で公表し、透明度を高めることを求めた▼政治とカネの問題解消には政党のガバナンス(組織統治)確立が不可欠だとし、役員の権限などを明確化した政党法の制定を訴える。企業に対して会社法があるように、公益性の高い組織には一定のルールが求められると指摘した▼講演の最後、来年が男性の普通選挙制度実現から100年の節目であることにも触れた。岡山市出身できのうが命日だった犬養毅元首相らが尽力した成果である。清廉潔白を貫いた泉下の政党人は今の政治をどう見ているだろう。

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