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市町村の木

 岡山市の木はクロガネモチ。別名アクラとも言う。市の中心部の「あくら通り」に街路樹として植えられている。どんな木か、思い浮かぶだろうか▼西大寺・五福通りの商店街で、アクラから採取した酵母で造ったという地ビールを売っていた。西大寺観音院にその木があると聞き、境内へ向かった。ああ、これか―。あくら通りで目にしていたはずだが、じっくり見たのは初めてだった▼岡山県内の27市町村は全て、シンボルとなる木を定めている。倉敷市と津山市はクスノキ、瀬戸内市はオリーブ、真庭市はヒノキ、備前市は旧閑谷学校で有名な楷(かい)の木だ。それぞれ、地域の風土や歴史を反映している▼岡山県の中心地点を表す石碑が立つ吉備中央町の岩倉公園には、平成の大合併前の旧市町村でシンボルとされていた木が植わっている。旧川上町のトチノキ、旧日生町のヤマモモ、旧真備町のモウソウチクなど。郷土の多様な植生が分かる▼若葉のすがすがしい季節になった。きょうは「みどりの日」。自然に親しみ、その恩恵に感謝する日とされている▼慌ただしく日々を過ごしていると、身近な自然のありがたさを忘れそうになる。この機会に、地元ゆかりの木を探しながら、公園や野山を歩いてみてはどうだろう。緑の恵みを体で感じて、次の世代に引き継いでいく決意を新たにしたい。

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