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お節介野菜

 「お節介野菜」と名付けられている。農業の6次産業化を進める複合施設「真庭あぐりガーデン」(真庭市)が県内外の店舗やネットで販売するカット野菜だ。どう“お節介”なのか―▼誕生のきっかけは、地元の農家のおばあちゃんたちの「もったいない」だった。育てた野菜が形や色が悪いといった規格外とされれば、廃棄せざるを得ない。「私たちが何か作ろう」と申し出て、2019年に販売が始まった▼みそ汁や野菜炒め、豚汁など用途に合わせて詰め合わされ、すぐに使える。捨てられていた野菜の活用でごみを減らし、農家も助かる。子育て中の忙しい家庭に便利。子どもたちが旬の野菜を食べられる。いろいろな困りごとを助けるお節介だという▼介護予防体操に通う高齢者にも呼びかけ、5人で始めたカットの作業は現在100人以上が担う。平均年齢は82歳、最高齢は何と95歳だ。高齢者らの働く場となり、生きがいづくりにもなる。先日、岡山市北区津高に岡山店もできた▼取り組みは先月の本紙シンポジウムで発表された。同じく大量に捨てられる規格外品に心を痛め、桃のアイスの販売や野菜スープ開発を行う高校生2グループの報告もあった▼もったいないをおいしいへ。お節介な人が次々に現れて取り組みがビジネスにもなれば、食品ロスの削減が大いに進むだろう。

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