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環境負荷抑制ストローを本格生産 シバセ工業 バイオマスプラ混合

シバセ工業が本格生産を始めたバイオマスプラスチック混合のストロー
シバセ工業が本格生産を始めたバイオマスプラスチック混合のストロー
 ストロー製造のシバセ工業(浅口市鴨方町六条院中)は、植物由来の非生分解性バイオマスプラスチックを混合したストローの本格生産に乗り出した。一般的な石油由来のプラ製品と同等の使用感や耐久性を保ちながら、環境負荷を抑えられる点をアピールしていく。

 サトウキビから砂糖を精製する際に生じる液体(廃糖蜜)を発酵させたバイオエタノールが原料のポリエチレン(バイオPE)を25%、石油由来のポリプロピレン(PP)を75%の割合で混ぜて製造。PPの中でもより硬い素材を使い強度を補っている。

 昨春に受注生産を開始。納入先の飲食店から引き合いが増えたため、4月から通常商品のラインアップに加えた。赤、黒、白、半透明の4色でアイスコーヒーやシェイク用などサイズの異なる計30種類をそろえる。

 ストローを巡っては、広く普及しているプラ製が、深刻化する海のプラごみ問題の一因になっているとして、日本でもファストフード店やファミリーレストランなどで紙製に切り替える動きが広がっている。そうした逆風の中、シバセ工業は「おいしく飲めて安全性や耐久性に優れるのはプラスチック。焼却処分する際、紙製に比べ燃料効率も良い」とし、プラ製を作り続ける。

 新商品もプラ製と環境負荷の低減の両立を目指す中から生まれた。同社によると、紙製は使用後にぬれていることもあり再利用が難しい。かつ、紙や接着剤の味がすると肝心の飲み物がおいしく飲めないとしている。

 微生物の働きで分解される性質を持つ生分解性プラもあるが、劣化が早くて割れやすく、長期保管に適さない。試行錯誤の末、使用感が石油由来のプラ製品と変わらず、劣化しないため安全性にも優れ、リサイクルも可能なバイオPEの混合品が最適と判断した。

 価格は石油由来のプラ製品より1割高いが、生分解性プラや紙製品より安価という。使用後の焼却処分時にCO2が排出されるものの、サトウキビは生育段階でCO2を吸収するため、全体では排出抑制につながる製品として提案していく。

 同社は国内で製造される業務用で約6割のシェアを持つ。環境意識の高まりを受け、バイオマスプラ製の需要が高まるとみて「10年後には全商品に100%導入したい」としている。

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