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「きまぐれ講座」ファン増に一役 県立博物館 テーマ絞り学芸員解説

新たに始めた「きまぐれ講座」でテーマ展に関する話をする内池副館長(右)=3月、岡山県立博物館
新たに始めた「きまぐれ講座」でテーマ展に関する話をする内池副館長(右)=3月、岡山県立博物館
 岡山県立博物館(岡山市北区後楽園)が今春始めた常設企画展の「きまぐれ講座」が好評だ。直前にウェブサイトやSNS(交流サイト)で告知する不定期開催ながら、テーマを絞った学芸員のざっくばらんな解説と1回30分程度という気軽さが受け、毎回数十人が受講。ファン獲得に一役買っている。

 「岡山の戦国時代」展(5月6日まで)にちなみ、3月に開いた初回は「戦国時代の武士の生き方を知ろう」。内池英樹副館長が、羽柴秀吉による備中高松城の水攻めを題材に、2階ホールに集まった約30人に問いかけた。「城主清水宗治は主家の毛利氏から降参しろと言われたのに切腹した。なぜでしょう」

 展示された江戸期の軍記物「備中兵乱記」から、敵に包囲された城内で密使から降伏を促す書状を受け取った宗治が、毛利氏が自分たちを心配し、忠戦をたたえた部分だけを家臣に伝えた逸話を紹介。「忠義に厚いリーダーだったからこそ、1日でも逆臣と呼ばれるのは恥、と切腹を選んだ」と話すと、男性(58)=同市北区=は「時代背景や人間関係を知れば展示がより楽しめる」と満足そうだった。

 これまで規模の小さな常設企画展では関連講座を開く機会が少なかったが、入館者アンケートで「展示されている物や人にまつわる話を聞きたい」といった声が寄せられたことから開催。初回以降も、戦国末期に宇喜多氏と毛利氏が争った「八浜合戦」、昭和初期の室戸台風による被災遺物などを取り上げ、いずれも予想を上回る20人程度が集まった。

 内池副館長は「担当学芸員も気負わず話せるミニ講座。SNSでチェックしてぶらりと立ち寄ってもらえたら。入館者の反応を見ながら、ワークショップなども試したい」と話している。

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