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春の「デニムデー」

 デニムの語源はフランス語なのだそうだ。ニーム地方産の綾織物を意味する「セルジュ・ドゥ・ニーム」が「デ・ニーム」と略され今に至るとか▼ニームと備中や備後には温暖で海に近い共通点がある。デニム生地製造などが盛んな岡山県では10月26日が「デニムの日」と定められ、代表格のジーンズをはじめ県産製品の魅力が10年あまりで随分知られるようになった▼岡山が秋なら、米国発祥のこちらは春と覚えておきたい。4月最終水曜日の「デニムデー」だ。25周年の今年は今日がその日。性暴力の被害者と連帯し、いわれのない非難と闘う象徴として身に着ける▼きっかけはイタリアの最高裁判断という。10代の少女が運転教習初日に教官から暴行された事件で、彼女がピタッとしたジーンズをはいていたことから「本人の協力なしには脱げない」すなわち「同意があった」とみなされ、下級審の有罪判決が覆ったのだ▼翌日、女性国会議員たちがジーンズ姿で強い憤りを表明した。怒りは国を超え、特にデニム文化を発展させてきた米国で支持を得ていく。何を着ていたにせよ、被害に遭った側に落ち度があったかのように責めるのは理にかなわない、と▼啓発活動は欧州、中南米、環太平洋地域へと年を追うごとに広がっている。ここは日本の一大産地。輪に加わる日はくるのだろうか。

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