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操山高生自殺 死亡見舞金を不支給 JSC通知 遺族側は不服審査請求

岡山県庁
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 2012年7月に操山高(岡山市中区浜)野球部の男子生徒=当時(16)=が自殺した問題で、学校での災害共済給付制度を運営する独立行政法人・日本スポーツ振興センター(JSC、東京)が遺族に対し、死亡見舞金の不支給を通知していたことが17日、関係者への取材で分かった。制度は12年時点では高校生の自殺には原則給付しないと規定。その後、いじめや体罰が原因の場合は対象とするよう改定されたが、旧規定が適用された。全国では例外的に支給が認められたケースもあり、遺族側は不服審査請求を行った。

 この問題は21年3月、生徒の自殺は当時野球部監督だった教諭の激しい叱責(しっせき)などが原因とする第三者調査委員会の報告書が公表され、岡山県教委は22年3月に遺族に謝罪。遺族は同10月、JSCに対して死亡見舞金2800万円の支払いを申請した。

 関係者によるとJSCは旧規定に基づき審査。「自殺行為を思いとどまる精神的な抑制力が著しく阻害された状態」は支給対象とする例外規定についても「該当する状況は確認できない」と判断し、昨年7月に不支給を通知したという。17日の山陽新聞社の取材に「個別の案件には答えられない」としている。

 遺族側はこれを受け、「当時は高度の心理的視野狭窄(きょうさく)状態に陥っており、例外規定に該当する」として同10月に不服審査を請求。その後も県教委を通じてJSC側と審査に関する書面のやりとりを続けている。生徒の父親は取材に「不適切な指導で精神的に追い込まれたことが原因と認めてほしい」と語った。

 規定を巡っては、高校生の自殺を除外する対応は救済制度の趣旨にそぐわないといった指摘を踏まえ、16年4月以降に発生した事案については死亡見舞金の支給対象としている。一方、16年4月以前の事案では、愛知県の県立高校や福岡県の私立高校の生徒が自殺した際に一度不支給とした決定を撤回し、支払いを決めたケースがある。

■再発防止策案20日提示


 操山高生徒が自殺した問題で、岡山県教委は17日、再発防止策案を取りまとめ、20日に外部有識者に示すと発表した。自殺事案が発生した際に専門家が詳細な原因を調査することを盛り込む基本方針の策定が柱となる見通しで、有識者や遺族の意見を聴取した上で6月から実行する。

 再発防止策について県教委は昨年3月、策定の方向性を公表。基本方針をはじめ、不適切な指導にはより厳しい懲戒処分の指針をつくるといった内容で、今回示す案はそれらを具体化したものとなる。

 20日は大学教授や弁護士ら有識者4人に対して県教委が説明する予定。

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