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新人刑務官、実弾訓練を廃止 規律重視から人権教育を拡充

 新人刑務官に対して行われた人権研修の様子=2023年10月、高松市
 新人刑務官に対して行われた人権研修の様子=2023年10月、高松市
 新人刑務官が行う、盾を用いた警備訓練=2023年11月、高松市
 新人刑務官が行う、盾を用いた警備訓練=2023年11月、高松市
 22年に名古屋刑務所で複数の刑務官が受刑者に暴行・暴言を繰り返した問題を受け、法務省が新人刑務官に必修だった拳銃の実弾射撃訓練を4月から廃止し、人権教育の時間を増やすことが29日、分かった。第三者委員会が23年にまとめた提言書で「人権意識が希薄で規律秩序を過度に重視するといった組織風土があった」と指摘されたことを受けた対応。使用事例が極端に少ない拳銃の訓練を減らし、人権教育に充てる。

 22年8月、名古屋刑務所(愛知県みよし市)で職員による受刑者への傷害事案が発覚。最終的に刑務官22人が約10カ月間、受刑者3人に対して顔をたたいたり、胸ぐらをつかんだりする不適切な実力行使に加え、受刑者の申し出に対応しないなどの不適正な処遇を計400回以上していたことが判明した。

 提言書を受け、法務省は新人刑務官の初等科研修で、受刑者らに寄り添った処遇ができるよう人権教育の時間を拡充。その一方、過去60年以上発砲した実績がないとみられる拳銃の射撃訓練は廃止にした。代わりに映像シミュレーターを用いた射撃訓練を行うという。

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