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新型コロナ 県内初確認から4年 4月以降公費支援終了 通常体制へ

新型コロナ 県内初確認から4年 4月以降公費支援終了 通常体制へ
 新型コロナウイルスの感染者が岡山県内で初めて確認されてから22日で4年を迎えた。昨年5月に感染症法上の位置づけが5類に引き下げられ、社会経済活動の回復が加速する中、4月以降はワクチン接種や医療費などに対する公費支援が終了し、医療体制も通常に移行する。一方で流行の波はコロナ禍と同様に繰り返されており、専門家は引き続き警戒を呼びかけている。

 5類移行後の感染者数は、全数把握から県内の指定84医療機関での定点把握に変更された。県のまとめでは、夏場や年末年始など人の移動が活発化する時期に感染者が増える傾向は変わらず、流行第9波のピークは昨年9月上旬で1医療機関当たり17・45人に達した。第10波は1月下旬~2月上旬の同13・45人が最も多く、インフルエンザとの同時流行となったため、医療機関が対応に追われた。

 4月からは、外来や入院について季節性インフルエンザなどと同じ医療体制となる。ワクチンは無料で打てる特例措置が終了し、65歳以上や重症化リスクが高い60~64歳を対象とした定期接種を秋冬の時季に1回実施する。最大7千円程度の自己負担が生じ、任意接種となる対象外の人は全額が自己負担となる。

 一定の公費支援がある治療薬代は窓口負担割合(1~3割)に応じた支払いが必要となり、入院費も最大月1万円の補助がなくなる。夜間、休日相談に対応してきた専用コールセンターは廃止され、県内の保健所(平日日中)と厚生労働省の相談窓口(毎日午前9時~午後9時)で受け付ける。

 県によると、5類移行後も10人以上のクラスター(感染者集団)が12日時点で高齢者施設を中心に602件報告されているほか、国の集計では昨年5~10月の県内の新型コロナによる死者が182人に上るなど、脅威であることに変わりはない。

 岡山大大学院の頼藤貴志教授(疫学・衛生学)は「今後も変異株の出現や抗体の逓減、人の移動の時期に合わせて感染者の増加が予想される」と指摘した上で「状況に応じたマスクの適正使用や適切な換気を心がけ、定期接種などでのワクチン接種や、ハイリスク患者の早期診断、治療が必要だ」と話している。

ワクチン接種後死亡 国の救済認定13件


 新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り、岡山県内では12日時点で、接種と死亡の因果関係が否定できないとして、国の健康被害救済制度に基づき、13件が死亡事例として認定されたことが21日、県への取材で明らかになった。申請は31件あり、残る18件のうち1件が否認、17件が結果待ちとなっている。

 同制度は、新型コロナワクチンを含む予防接種後に死亡したり、副反応で医療機関を受診したりした場合に対象となる。本人や家族が市町村に申請し、都道府県を通じて国に提出する。専門家による審査会で認められれば医療費や死亡一時金が支給される。

 県ワクチン対策室によると、死亡事例についてワクチンのメーカーや種類による大きな差はない。全国でも申請が相次いでいるためか、最長で約2年経過しても結果が出ていないケースもあるという。死亡事例以外の健康被害に伴う申請は189件あり、認定122件、否認14件で、53件が結果待ち。

 同室は「副反応による健康被害はまれではあるが、なくすことはできない」とした上で「今後も新型コロナの流行は定期的にやってくる可能性がある。ワクチンによって重症化リスクは低減されるので、特に高齢者らは接種を検討してほしい」としている。

 厚生労働省によると、18日時点で死亡事例の申請は全国で1269件あり、うち523件を認定、162件を否認、1件を保留としている。

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