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小野竹喬「波切村」など国重文に 文化審が答申 広島頼家関係資料も

小野竹喬作の波切村(左隻)
小野竹喬作の波切村(左隻)
頼山陽の日記(東行手記)の一部
頼山陽の日記(東行手記)の一部
由加神社の拝殿・幣殿
由加神社の拝殿・幣殿
 文化審議会は文部科学相に15日答申した国の重要文化財に、竹喬美術館(笠岡市)が所蔵する同市出身の日本画家小野竹喬(1889~1979年)が手がけた「波切村(なきりむら)」、江戸時代後期の儒学者・頼山陽を生み出した家の「広島頼家関係資料」をはじめ美術工芸品36件を選出した。建造物の登録有形文化財には、江戸時代の建築とされる由加神社(倉敷市児島由加)の拝殿・幣殿(へいでん)など121件を選んだ。

 波切村は太平洋に面する波切村(現三重県志摩市)を題材に二つのびょうぶに描かれた風景画で、右隻と左隻はいずれも縦約168センチ、横約369センチ。1918年に発表された竹喬の代表作とされ、西洋の油絵を思わせる光沢のある質感と雄大な景観描写が高い評価を受けている。

 頼家は広島藩時代、福山市神辺町ゆかりの頼山陽ら多くの儒学者を輩出した家系で「資料の学術的価値は高い」と広島県。対象は文書、書画など江戸から明治初期の5547点。頼山陽の「日記(東行手記)」は江戸への旅の記録で、富士山を望んだ際の様子を絵入りで記した。

 由加神社は拝殿・幣殿に加え、敷地内の三宝荒神社本殿、大鳥居の3件が対象となった。拝殿・幣殿は緻密な彫刻や飾り金具が随所に施され、技術的な価値が高い。備前焼の部材で造られた大鳥居は岡山の地域性を示す貴重な文化財とされた。

 告示後、岡山県内の美術工芸品の重要文化財は114件、建造物の登録有形文化財は363件となる。

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