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震災後のリクエスト曲

 東日本大震災の後、アニメ主題歌「アンパンマンのマーチ」がラジオで流れ、避難所の子どもが笑顔で合唱したと話題になった。生きる喜びを真っすぐにつづった歌詞は大人の心にも染みた▼当初、現地のラジオ局は災害情報を伝えるのを中断して音楽を流すことにためらいがあった。リスナーからのリクエストはほとんどなく、選曲にも苦労したという▼その震災から13年。今年は能登半島で大きな地震が起き、NHKラジオなどが被災地に届けたい音楽を募っていた▼きのうの悲しみ、流しておくれと歌う岸洋子さんの「夜明けのうた」。日はまた昇る、大丈夫、と繰り返すビートルズの「ヒア・カムズ・ザ・サン」。笑顔はどんな悲しみにも負けない、というフレーズが印象的な小田和正さんの「ダイジョウブ」。リクエストの多くは、東日本大震災などで避難生活を経験した人から寄せられた▼「ザ・プレイヤー」というセリーヌ・ディオンさんの曲も流れた。盲目のテノール歌手とのデュエットで、被災した障害者を励ます選曲だ。財津和夫さんの「サボテンの花」もあった。失恋の歌だが、長い冬が終わるまでに何かを見つけて生きていこう、と立ち直りを誓う歌でもある▼少しずつでも、復興への歩みを進めてもらいたい―。それぞれの曲から被災者を応援する気持ちが伝わってきた。

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