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岡山県の男女格差 是正して女性の流出防げ

 「国際女性デー」(8日)に合わせ、政治、行政、教育、経済の4分野で男女平等度を分析した「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」が公表された。上智大の教授らでつくる「地域からジェンダー平等研究会」が2022年に始め、3回目になる。

 4分野の計30の指標から地域ごとの特色を浮き彫りにし、対策につなげるのが狙いだ。人口移動のデータから岡山県の若い女性の県外流出が進んでいる問題を本欄でも指摘してきた。女性流出の背景について各種の指標から読み解くことが大切だろう。

 男女格差が小さい方から並べた都道府県順位で、岡山県は行政7位、教育8位、政治13位、経済29位。4分野の中では経済の低さが目立つ。

 経済分野の指標をみると、フルタイムの仕事に従事する割合は32位。女性はパートで働き、「主たる稼ぎ手は男性」という意識が強い地域の一つといえる。ただ、フルタイムの仕事の賃金でも男女格差は大きく29位。賃金は職位や勤続年数を反映するが、なぜ女性は勤続年数が短く、昇格しないのかを考えねばならない。共働き家庭の家事・育児時間の格差も大きく38位。女性は男性の5倍以上も家事・育児をしており、働く女性の負担があまりに大きいことが分かる。

 一方、教育分野の格差は小さく、四年制大学の進学率は男性57・5%、女性54・0%と男女でほとんど変わらない。つまり大学を出てから、経済分野の指標が示すような格差に直面することになる。

 分析した上智大の三浦まり教授は「大卒女性に見合った職業がなく、企業などの女性管理職も少ない地域では、女性はここではチャンスがないと感じ、県外で就職先を探すことになる」と指摘する。

 流出を防ぐ観点から、三浦教授が重視するのが行政の役割だ。首長のリーダーシップで変えることができ、民間への波及効果もある。特に県庁は地方において大卒の採用者数の多い組織の一つだ。

 2代にわたって知事が女性登用を進めた鳥取県では、県管理職の女性割合が2割を超えた。岡山県の管理職の女性割合はまだ1割だが、大卒採用数のうち4割超は女性が占めており、先を見据えて女性職員を育成する必要がある。女性が働きがいを感じる職場の姿を示してもらいたい。

 政治分野では昨年の統一地方選で女性が躍進した。岡山県の女性県議は12人になり、女性割合は2割超に。都道府県議会では東京、香川に次ぐ3位である。均等にはまだ程遠いものの、地方議会では変化の兆しがある。

 人口減少が進む中で、女性に選ばれる地域でなければ持続は難しい。より多くの人が危機感を共有し、格差是正のスピードを上げていきたい。

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