山陽新聞デジタル|さんデジ

貴重な砂浜生かしたい

 季節外れの話題だが、夏休みに楽しみなのは家族旅行に花火、プール、祭り。小学校の1学期終業式で先生が児童に問いかけるとこうした声が上がる。いつ頃からか海水浴はあまり聞かれないという▼夏の太陽を浴びた小麦色の肌が格好いいといわれたのは遠い昔。日本生産性本部のレジャー白書によると、国内の海水浴客数はピークだった1985年の3790万人から2022年には360万人と10分の1以下に減少した▼レジャーが多様化し、記録的な猛暑続きや新型コロナウイルス禍の外出控えも影響した。海水が体にべとつくのが嫌だという若者もいるからますます海が遠のく▼そんな“荒波”をまともに受けた。岡山市は今月、瀬戸内海に面する宝伝、犬島の両海水浴場を廃止すると発表した。どちらも砂浜の規模は小さいながら遠浅で波は穏やか。00年前後はシーズン中に2万人以上が訪れた▼海水浴場の運営は何より大切な安全を守るため、客の監視、清掃、駐車場の整理など多くの人手がいる。需要減はさることながら、長年請け負ってきた地元住民らの高齢化で万全の態勢を取れなくなったことが決定打になった▼2カ所とも過疎化が進む地域にあって、夏の間だけでも活気づいた。今まで通り泳げないとしても貴重な砂浜を有効活用できないか。寂れていくのはもったいない。

あなたにおすすめ


さんデジ特集

TOP