Ｊリーグの元監督やスポーツライターらはシーズンをどう展望するのか。開幕前に専門誌が特集する順位予想には必ず目を通している▼二十数人がチームの順位を予想する。今季のＪ２ファジアーノ岡山は、Ｊ１昇格プレーオフ進出の６位以内にも入らない見方が半数を超える。優勝候補にはＪ１を経験したチームが並ぶ▼そんな見立てを覆してくれると思える出来だった。ファジはおととい、ホームの今季開幕戦で栃木に３―０で完勝した。大型補強を経て、新旧メンバーが融合したチームは充実した戦力を存分に見せつけた▼際立ったのは攻撃力だ。相手ゴールに迫るプレーが途切れず、１７本のシュートを放った。得点力不足に苦しみ、２点差以上の勝利が３試合しかなかった昨季から様変わりしている。それを支える守備陣の安定感も申し分ない▼ファンの期待も高い。試合開始の３時間前には雨の中、会場の入り口付近に長蛇の列ができた。１万人超の入場は今季のＪ２開幕戦１０試合で３番目に多い。チャンスのたびに観客がファジレッドのマフラーを一斉に振り、ゴールを願う光景は圧巻だった▼開幕戦に名を連ねなかった実力者が、まだ何人も控えている。選手層が厚く、チーム内の競争が激しくなるのは頼もしい限りだ。３年目の“木山ファジ”がＪ１昇格へ力強く一歩を踏み出した。