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廃プラ製品リサイクルを共同研究 萩原工業など3社 プラント開発へ

相川鉄工の叩解装置。廃プラに含まれる異物やインクを除去する
相川鉄工の叩解装置。廃プラに含まれる異物やインクを除去する
色つきのプラスチック片(左)からインキを除去した状態
色つきのプラスチック片(左)からインキを除去した状態
 合成樹脂繊維製品製造の萩原工業(倉敷市水島中通)は、印刷インキ製造販売の東洋インキ(東京)、製紙機器製造の相川鉄工(静岡市)と協業し、食品パッケージなどの廃プラスチック全般をリサイクルする共同研究に乗り出した。主力製品ブルーシートの再生で培ったノウハウと、各社の技術を融合。循環型社会の構築に寄与するため、廃プラを高品質な原料に戻す仕組みやプラントの開発を目指す。

 萩原工業の再生事業は、使用済みブルーシートを溶解、ろ過して微細な異物を除去し、劣化した成分を補う「調質・改質」を経て原料の樹脂ペレットに戻す。相川鉄工はパルプや古紙を洗いながらたたいてほぐす「叩解(こうかい)装置」を製造。紙の繊維からインキを除く技術も持つ。東洋インキは、フィルムからインキや接着剤を分離できる。

 共同研究では、叩解装置をプラに応用するほか、萩原工業のろ過、ペレット造粒装置などを活用。廃プラを洗浄してインキや接着剤を取り除いた後、溶解、ろ過、調質・改質を経てペレットにする。

 洗浄からペレットの造粒までを一貫して行うモデルプラントを25年までに静岡県にある東洋インキの工場に整備する方針。投資額は数億円を見込む。将来的には萩原工業と相川鉄工がプラ製品を扱うメーカーなどにプラントを売り、東洋インキに対価を支払う考え。

 廃プラのリサイクルは洗浄が課題となる。汚れの付着に加え、食品や日用品に広く使われる包装材やラベルは、絵柄や文字を表現したインキがフィルムに挟まれ、接着剤も含む。除去できなければ再生したペレットに色や異物が残り、輸送用パレットや植木鉢などに用途が限られるという。

 萩原工業はブルーシートの国内最大手で、2022年にリサイクルを本格化。相川鉄工とは既にシートの再生で協力している。リサイクル対象をプラ全般に広げるに当たり、東洋インキにも加わってもらった。3社は化学プラントの展示会などで交流を深め、23年11月に共同研究に関する契約を結んだ。

 萩原工業は「プラ製品のリサイクルで二酸化炭素(CO2)の排出量が3、4割削減できるとも言われる。技術を広くオープンにし、異業種で力を合わせて脱炭素や資源循環につなげたい」としている。

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