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旧妹尾銀行林田支店など県重文に 県教委、新たに5件指定

旧妹尾銀行林田支店本館(津山市、EKG合同会社提供)
旧妹尾銀行林田支店本館(津山市、EKG合同会社提供)
銅造誕生釈迦仏立像
銅造誕生釈迦仏立像
銅造如来立像
銅造如来立像
木造狐像(木山神社提供)
木造狐像(木山神社提供)
大般若波羅蜜多経(井原市教委提供)
大般若波羅蜜多経(井原市教委提供)
旧妹尾銀行林田支店など県重文に 県教委、新たに5件指定
 岡山県教委は20日、1920(大正9)年に建てられ、寺院建築風の本館やれんが造りの倉庫などで構成する「旧妹尾銀行林田支店」(津山市川崎)をはじめ、新たに5件を県重要文化財に指定すると発表した。大正期以降の建造物の指定は初めてとなる。

 旧妹尾銀行林田支店は伝統的な木造技法と鉄筋コンクリートといった新しい技術を駆使し、建物としての質の高さが評価された。75年に所有者から津山市に譲渡され、現在はアートギャラリーとして活用されている。

 他に指定が決まったのは、いずれも安養寺(倉敷市浅原)が所有する「銅造誕生釈迦(しゃか)仏立像」と「銅造如来立像」、木山神社(真庭市木山)所有の一対の木造狐像、千手院(井原市野上町)に伝わる仏教経典「大般若波羅蜜多(はらみった)経」の4件。

 安養寺の銅造誕生釈迦仏立像(像高約14センチ)は58年に寺の裏山経塚群から出土。奈良時代後期から平安時代前期の作と考えられ、県内に伝わる誕生仏では最古とみられる。銅造如来立像は像高92センチ。金銅仏としては県内最大で出来栄えの評価も高い。蛍光エックス線分析などから奈良時代前期に作られたと推察される。

 木山神社の狐像は1体(像高約52センチ)が鍵、もう1体(同約53センチ)は珠(たま)を口にくわえている。室町時代に作られたとされ、現存例は希少。県立博物館(岡山市北区後楽園)に寄託されている。

 大般若波羅蜜多経は唐の高僧玄奘(げんじょう)がまとめた大乗仏教の経典で、全600巻のうち1巻から200巻が伝わる。南北朝時代に書写が始まったとみられ、まとまって残っているのは貴重という。

 県文化財保護審議会(会長・土井通弘就実大名誉教授)の答申に基づき決定した。県指定文化財は今回を含めて508件。3月上旬の県公報に告示され、正式指定となる。

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