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芸備線 地域の活力維持に必要 庄原で日本総研・藻谷さん講演

講演で芸備線維持の意義を訴える藻谷さん
講演で芸備線維持の意義を訴える藻谷さん
 岡山、広島両県を結ぶJR芸備線の利用低迷区間が存廃に揺れる中、鉄道を生かしたまちづくりについて考える勉強会が19日、沿線の庄原市内で開かれた。日本総合研究所(東京)主席研究員の藻谷浩介さん(59)が講演し、地域の活力維持には芸備線が必要と訴えた。

 藻谷さんは「鉄道は先人たちが残してきた財産であり、赤字だから廃止にする考えはおかしい」と強調。同じ交通インフラである道路の維持管理に税金が投入されているのに対し、鉄路には使われていない状況を踏まえ「鉄道の採算面ばかりが問題視されるのはどうか」と指摘した。

 2018年に広島、島根両県をつなぐ三江線が廃線となり、地元観光が不振に陥った例にも触れながら「廃線は地域が消滅するイメージをつくってしまい、人が住まないまちを生んでしまう」と警告。芸備線についても沿線自治体が線路や駅舎を管理し、JRが運行を担う「上下分離方式」の導入を提案し、「国費を使ってでも維持すべきだ」と述べた。

 芸備線の利用低迷区間(新見市―庄原市間の68・5キロ)を巡っては、国を調整役に沿線自治体とJR西日本が存廃を話し合う全国初の「再構築協議会」設置が決まっており、早ければ本年度中にも議論が始まる。

 勉強会は庄原市の市民グループが主催し、約80人が聴講した。

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