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芸備線再構築協 設置を正式決定 全国初、新見―庄原間の存廃議論

岡山、広島両県の山間部を走るJR芸備線=新見市
岡山、広島両県の山間部を走るJR芸備線=新見市
芸備線再構築協 設置を正式決定 全国初、新見―庄原間の存廃議論
 国土交通省中国運輸局は12日、岡山、広島両県にまたがるJR芸備線で利用が低迷している新見市―庄原市間(68・5キロ)の存廃を議論する「再構築協議会」の設置を正式決定した。設置は全国初で、本年度中の初会合開催を目指す。膠着(こうちゃく)状態にあった同線の在り方を巡る議論が動き出す。

 再構築協では、広域的な観点から幅広く議論するため、新見市から広島市に至る芸備線全線(159・1キロ)の活性化策についても話し合う。

 メンバーは沿線自治体が岡山、広島県、新見、庄原、広島、三次市の2県4市。JR西日本から岡山、広島両支社、国交省からは中国運輸局と中国地方整備局が参加する。両県のバス協会、県警本部、呉高専の神田佑亮教授(交通政策論)も名を連ね、議長は中国運輸局の益田浩局長が務める。対象区間外として不参加を表明していた安芸高田市は入らない。

 利用が低迷している備中神代(新見市)―備後庄原(庄原市)間は、1キロ当たりの1日平均乗客数(輸送密度)が48人(2019年度)とJR西管内では最低水準にある。再構築協では利用を促して鉄路を維持するか、廃線にしてバスなどに転換するかを原則3年以内に決める。いずれの結論になっても国が事業費を支援する。

 岡山県の伊原木隆太知事は取材に「それぞれのメンバーが納得できる案を探し、地域住民の生活を守りたい」と答えた。広島県の湯崎英彦知事は「さまざまな関係者と連携し、積極的な議論に努める」とコメント。JR西は「利用しやすい最適な交通体系を実現できるよう取り組む」とした。

 利用低迷区間を巡ってはJR西が22年5月以降、沿線自治体に存廃を含む議論を求めてきたが、廃線を警戒する自治体側が応じず、溝の埋まらない状況が続いていた。再構築協制度ができた昨年10月、JR西が国に設置を要請していた。

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